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コロナ飲み薬、十分な有効性確認できず

スイス製薬大手ロシュが開発中の新型コロナウイルス感染症の経口薬(飲み薬)AT527について、臨床試験で十分な有効性が確かめられなかったと発表された。中外製薬と共同で研究しており、今年中の承認を目指していたが挫折することになってしまった。臨床試験にて十分な有効性が証明されなかったようだ。軽度~中程度の患者に投与したが投与後に体内のウイルス量の明確な減少が認められなかった。これにより、実際の承認まで半年から1年さらに時間がかかる模様だ。その一方でアメリカではメルクやファイザーが飲み薬の治験を進めており、こちらは順調に進んでいる。早ければ今年中に承認が下りるだろう。メルクはすでに「モルヌピラビル」の緊急使用許可を米食品医薬品局(FDA)に申請している。

メルク製は5日服用で効果発揮

メルク社開発の飲み薬は順調である。メルクが10月11日に緊急使用許可(EUA)の申請を発表したのが「モルヌピラビル」で、核酸アナログタイプの薬だ。核酸アナログでは、ウイルスの遺伝情報が保たれているRNAに似せた物質を薬として活用する。メルクは緊急使用許可の発表に先立ち、10月1日に発表したプレスリリースの中で最終試験の中間報告を公表している。ここで、軽症から中等症のコロナ感染者が服用すると、入院や死亡のリスクが半減すると報告した。恐らくだが、世界初の飲み薬が承認されるのはこのメルク社の新薬ではないかと言われている。

大規模治験を開始

ファイザー社はどうしているかというと、開発中の新型コロナウイルス治療薬を、予防薬としても使うための大規模な臨床試験(治験)を9月に始めたと発表した。18歳以上の2660人が参加する。治験ではコロナウイルスの増殖を抑えることを狙った新薬候補と、エイズウイルス感染症の治療に使われる「リトナビル」の2種類を併用する。リトナビルを一緒に使うことで、新薬候補が体内で分解される速度を遅くできると考えている。年末には結果がわかるそうで、その結果次第で承認申請へ踏み切る意向のようだ。

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