さあ野球しようぜ BBF2024

2024年最初の観劇となります。


あらすじが、当初のものから変更があったとのことです。下記が正しいもの。(あんまりあらすじ入れてなかったから個人的には問題なし)

あらすじ

桜田高校の弱小野球部は部員が三人しかおらず、廃部の危機に瀕していた。
そんな野球部に現れた中学時代神童と呼ばれた上石神井透は、部室を占領していたシティポップ研究会や中学時代に名スラッガーとして名を馳せた千野のいる茶道部を取り込んで、野球部を廃部の危機から救うために奔走するが果たして、、、。

https://e-stagetopia.com/bbf/

超本格野球作品、、というよりはそこに至るまでの物語

野球などのスポーツが題材だと、経験者や観戦好きとしては試合中の熱くなる瞬間とかを楽しみにしたい部分もありますが、今回は試合に関する描写はなし。(OPダンスと多少の野球描写はあり)
どちらかというと、野球のルール云々よりはそこに向けて困難を乗り越える姿を観るものだったなーと感じました。まあ流石に活動休止の野球を復活させるための~みたいなドラマを経験した人はほぼいないとは思いますが、誰かに感化され1度は折れた心をもう一度取り戻す、何か滾るような思いをした人は多いと思います。そこに何か引っかかるとこの舞台はより楽しめる。そう受け取りました。
比較的キャッチーな部分もあり、言うまでもなく二刀流とか中学校時代盗塁王など、野球知らなくても何となく「凄い」って思えるところはありました。マジレスすると、中学校は二刀流当たり前なんですが、、あとリーグ戦では無いので盗塁王とかもあんまりない(シニアの大会とかかな)ので、自分の経験とはリンクしなかった部分はあります。

何を軸に観るか

個人的に、物語の軸が多数あると混乱するので苦手、という前提は置いておきますが。今回は主人公の上石神井透が、過去のトラウマのようなスイッチで人格が変わる(過去になにかがあって、それを乗り越えようともしている)部分と校長 西園寺、顧問神納との過去の関係。そして、野球部活動休止の真相。結論、多少リンクはしているものの、脳汁がドバーッと出るほどの衝撃ではなかった部分ではあり(土を食べさせるっていう描写のリンクはなるほどとは思った)
個人的には誰が悪いんだろうと悩んでしまったけど、そんなにガッツリ悩む必要もなく、ある程度物語を把握しつつ、ワンシーンワンシーンを楽しんでいった方がより楽しめたかなーと思います。
ツイートを見るに稽古終盤での脚本変更があってあらすじが変わったそうなので、作り込む時間的な意味では伸び代がある部分でもあるかなーと感じました。

どの人物に惹かれるか

さて、話の流れについてもですがやっぱり過程を観るという意味では登場人物たちがどう映えるかも大変重要ではあります。
主人公の透はバラバラになった部員たちを繋ぎ止めるゲームチェンジャー的な役割。スイッチの入り方で別人格になりますが、熱血漢モードの時にどれだけ振り切れるかが今回一番見所かなと。振り切れる、というよりもどれだけ純粋になれるかでしょうか。
野球というひとつのスポーツを軸にするのだから、どれだけ真っ直ぐになれるか。少しでも現代っ子モードが見え隠れするようだと人は動かないのです。そこは良くも悪くもピュアすぎる透が現れてたように思います。

あと、これは個人的になのですが、広江役のきみと歩実さんの所作は、物語の本筋には大きく関わらないものの男心に刺さる動きで魅力に思いました。保健室での姫子先生(木保英里香さん)とのやりとりの一軍女子感は凄かった。ナチュラルな演技で個人的には好きでした。

舞台作品として割り切る力

スポーツを題材にするのはいわゆる舞台やドラマのような実写は大変難しいのです。というのも、全員がプロレベルのプレーはできないし、そもそもあの舞台で本当にボールを投げるなんてとんでもない。でもボールがないとなんか違和感。。というジレンマ。
ただふと考えるわけです。いわゆる小演劇って、完全なリアルを追求していない部分も多々あります。例えばワンシチュエーション系でなければ虚空に向かってノックをするし、学園モノで何十席も座席は用意しません。
今作で言えば、アンサンブルの方々は全員ジャージで、ジャケットを羽織って記者会見の記者をやっていました。でもそこは小演劇だよなーで丸く収まるのです。そこの頭の切り替えができないと、まだまだ楽しめないね。と思います。
ただ、ある程度はその道の人を納得させることも必要なのです。今回は主演の福原さんはじめ野球が好きな方も多かった座組と思います。明らかなルール無視の描写とかもなく、そこは安心して観れました。


こんな人に見て欲しい

野球とはなんぞやとか、考察とかをしながら観るよりもシンプルに物語とお芝居を楽しみたいっていう人は好みになるのではないでしょうか。打者心理とか玄人的な描写がある訳ではないので、そこを間違えて期待してしまうとガッカリしてしまうかなと思います。
嫌な気分になるような人物もおらず、変な後味の悪さがある訳でもないので比較的スッキリした気持ちで観れるのではないでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?