感想を書くということ

「本公演の感想を、ハッシュタグ〇〇で呟いてください!座組一同励みになります」
という言葉を聞いたことがない演劇ファンはいないでしょう。

この言葉に、今の演劇界に対して私が思うことが詰まってる気がします。

その感想は誰のためのもの?

上記の言葉をよーく見てみましょう。
その感想で、ぜひ迷っている人に届けてください。という旨の言葉はありません。

記憶違いかな?なんて思って、過去観劇した団体含むいくつかの団体の公式Xや、可能であれば主宰の方なども覗いて見ました。
そうしたら、20団体(公演)くらい調べてみましたが
「ぜひこの感想を色んな人に届けてください」のように劇場に足を運んでもらうような呼びかけをしているのは1つだけでした。
もちろん、残席の状況などではその文言を使わないこともあるので一概に「よい」「だめ」とは言えませんが、
感想がまだチケットを買ってない人に届けるものではなくて、なんとなく役者やスタッフ、観劇したお客さんが見て喜ぶものになっているような感じがします。

感想の呟き方から推測する

便宜上「この公演を観に来てよ」という感想を外向け、「出演者や関係者、観劇した人が楽しむ」ような感想を内向けと表記します。

おそらく、Xの感想は(私含め)出演者の方に読んで欲しいということ前提で書いている人が多いのかな。と思います。まあ、実際「役者がハッシュタグで感想を見に行く」とか「励みになる」と言っているのでそういうツイートが多くなりますよね。

また、文字数の関係上人物や設定の説明、ネタバレ防止のため細かいことを省くこともあります。
こうなると外向けの感想としてはあんまり機能しません。
まあ確かに、「細かいことは書けないけど、太郎と花子の再会シーンで泣けた」という感想感銘を受けて観に来る人は…いないかな?なんて思います。

もちろん中には、「面白かったからぜひお時間あれば足を運んでください」のような言葉もありますが、如何せん大量の内向けの感想で溢れると探すのも大変。

媒体の変化

昨年9月にツイートしたのですが、こりっちの感想がとても少ない。9月の小劇場(200席程度)の感想約200件のうち、感想0が113件。最も多くて壱劇屋さんの25件でした。
ちなみに、私が小劇場にハマったきっかけであるボクラ団義さんの時をかける206号室は90件ありました。これは非常に大きな変化のように思います。

そしてこりっちの「観てきた」は、ネタバレは伏せることができることや、自分の知らない人に向けてということもあって比較的説明の多い外向けの感想であると言えます。

今でも覚えていますが、「演劇はプロモーションの弱い芸能ですから、是非皆様の感想をこりっちに書いてください。」とカーテンコールで話されていました。
それに準ずる言葉を聞くこと、かなり減ったように思います。
おそらく、こりっちのようなポータルからTwitterのようなSNSが主流になって、フォローフォロワーとのやり取りが重要視されるようになったからでしょう。(いつだかはフォロワー数やいいね数などが強く見られていた時期もありした)

勝手な憶測

これは私が思う憶測ですが、今の演劇界は色んな人に自分たちの劇団を届けよう!っていう流れよりも、今いるお客さんになるべく沢山リピートしてもらったり、グッズを買ってもらったりして生き残る流れなのかな?なんて思います。(応援タペストリーとかね)

個々の感想では「来て欲しい」のようなものもあります。が、少なくとも上記のように公式さんや主宰の方からそういった言葉があまり見られなかったのはちょっと寂しいですね。
「呟いてください!」とあるものの、なんのためだろう…なんて思いました。

役者さん個人単位では、その事に言及されている様子もありましたが。
全部が全部と言わないですが、ほんの少しだけ意識があるといいかなーなんて思いました。

個人の意見ですが。

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