「リスクリターン比」分析を生かせば株式投資はぐっと楽になる

 投資商品のリスクを測る指標として、主にシャープレシオ、σ(シグマ)、標準偏差(”リスク”と表現する場合もあり)を分析する方法があります。これらは投資商品のリスクが見える貴重な指標であるにも関わらず、断念ながらこれらを生かして投資するという話は殆ど聞きません。

例えば、シャープレシオは以下のような記事で表現されています。


 シャープレシオの数字が大きいと「何となく、良い商品なのかな?」とは思えても、残念ながら具体的なイメージが記事からは伝わってきません。

 標準偏差、シャープレシオ、σ(シグマ)分析は、少なくとも個人投資家には向かないようです。でも、これらのリスクを測る指標は貴重であり目の付け所は非常に良いのだから、もっと使いやすい数字に変換できれば良いと考えられます。

 そこでRRs分析では「リスクリターン比」という概念を考案しました。これは、リターンをリスク(標準偏差)で割ることで算出される数字で、単位は「倍」です。

 例えば、「リスクリターン比2倍」と表現した場合は、リターンはリスクの2倍大きいと理解することが出来ます。リスクとは標準偏差の事です。(リスク=標準偏差)リターンは常に振れますので、保有期間を1年と固定した場合でも、1月に買った場合と3月に買った場合ではリターンは変わります。この変化を統計的に表現する方法が標準偏差です。

 リスクリターン比2.0倍を統計的に表現すると、例えば年10%のリターンが得られる商品は、(過去の観測期間内で)いつ買ってもマイナスになることは無い、という事になります。

 これなら個人投資家にも分かり易いです。

 リスクリターン比が1倍だったら、リターンがマイナスになる可能性は統計的に16%となります。「ちょっと心配ですが、まあ大体は大丈夫かな?」というイメージが持てると思います。リスクリターン比が2以上の商品がマイナスになる可能性は統計的に2.5%以下ですので、「まず大丈夫だろう」という予測をすることが可能になるのです。

 ここでもう一つの問題提起をしておきます。実はこのリスクリターン比は、シャープレシオとほぼ同等の数字なのです。

 リスクリターン比≒シャープレシオ

 であれば、モーニングスターのシャープレシオを見れば投資の参考になるのではないか?と考えられます。しかし現実にはそういう言わけにはいかないのです。以下に、モーニングスターのサイトを再掲します。

キャプチャ

 現実のシャープレシオは、そう簡単には1を超える事はありません。掲載されたページは、2020年11月末時点のもたまたま今は世界全体の株式市場の成績が良いため、上位銘柄は1を超えていますが、いつもこうではありません。株式関連の投資信託においてシャープレシオが2を超える事はまずありません。

 これはなぜかというと、モーニングスターが掲載しているシャープレシオは保有期間が1年だからです。投資信託や株式投資は、原則としては長期投資が良いとされています。しかし、シャープレシオは通常は期間1年で見ているため、あまり参考にならないのです。少なくとも私は保有期間3年、3年などの長期でのシャープレシオデータは見たことがありません。モーニングスターに掲載されているシャープレシオは、少しややこしいのですが運用期間が10年であっても、シャープレシオは1年保有で計算されているようです。ですので、何年間保有したらシャープレシオが2を超えるのか?はわかりません。

 個人投資家の知りたいことは、「長期投資が良いのは分かるけど、では具体的に何年間保有したら損しなくなってリターンが増えるのですか?」という疑問のはずです。もし投資信託が長期でもハイリスクな存在で損をする可能性が高いのであれば、そもそも「長期投資が良い」と言ってしまったら詐欺に当たります。心配しなくても、いくつかの投資信託は保有期間を3年、5年と長くとることによって、リスクがリターンに対して低くなることは統計的には証明できます。

 そこを分かり易く表現するために、RRs分析では保有期間を1年、2年、3年・・・と長期で保有した場合のリスクリターン比(≒シャープレシオ)分析結果を公開しています。

 それにより、「この銘柄は3年以上保有すれば損をする確率が低いようだ」「この銘柄は見た目のリターンは大きいが、3年保有していても損をする可能性も高いな」といった投資判断が簡単に出来るようになりました。

 以上のように、他の比較サイトでは公開されていない、長期でのリスク分析を積極的に行っているのがRRs分析です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?