大器、現る

侍ジャパンに選ばれている関大の金丸夢斗投手が7日、京セラドームでの欧州代表との強化試合で先発、2回投げ、打者6人から4奪三振、0に抑えた。150kmを超す直球、フォークも低めに決まった。これが大学生かと思わせる投球にテレビ解説の古田敦也氏は「直球が150kmを超すと高めにいったりするものだがそれが1球も無かった。今すぐでもプロ野球で投げられる」と絶賛した。

 この春から関大4年。1年秋からリーグ戦に登板、2年春と3年秋に防御率1位、2、3年の秋はともに最優秀投手とベスト9、関西学生リーグでの通算成績は33試合に登板、19勝2敗。3年の秋は51イニング投げて失点3、防御率0.31。奪三振は74でアウトの半分が三振だった。こんな成績が知られていたらこの日の投球はこれほどの驚きを与えなかったろう。その意味で金丸の7日の投球は金丸の名前を全国区にしたといえた。

 神戸市出身で広陵中から神港橘高。この学校前は神港高といい、阪急の抑えで豪速球の山口高志が先輩でいた。もっとも金丸が橘高3年の時コロナ禍で夏の大会は中止になった。甲子園出場の夢が断たれ自分を見失いかけたが思いなおし家でトレーニング、ひたすら走った。これが下半身の強化につながり、体重が7kgも増えた。たくましくなって進学した関大でプロ野球から引退後母校野球部にアドバイザーとしてかかわっていた高校の先輩山口氏と出会う。

 山口氏が嫌うため表には出ないが関大での金丸の成長に先輩が預かったのは言うまでもない。関大は春のキャンプは阪神が長らく使っていた高知県安芸市の元タイガータウンで行っている。今年もここで練習、仕上げの四国銀行との試合に金丸が先発直球最速153kmをだし、侍ジャパンに乗り込んできた。

 色紙を求められると「直球」と書く。欧州代表相手にその直球で4奪三振。全国に知れ渡った今日以降、話題独占だろう。2番手に愛工大の中村が投げたこの試合、後プロの松山(中日)、渡辺(楽天)、隅田(西武)、種市(ロッテ)が投げたが金丸に刺激され力投、6人で完全試合を達成した。

令和6年3月8日

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