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【いろりの畑】つながる温もりを耕せ

 先日ひょんなことから、オンライン日本語サロン「いろり」から生まれた「いろりの畑」という活動にお邪魔してきました!
 「いろり」は、コロナ禍で日本語教室に通うことのできない外国人に向けた日本語で交流できるコミュニティづくりの活動です。NPO法人ESUNEから始まり、今は学生が中心となって運営しています。そのメンバーの一人で私と同じ大学の幸田穂奈美ちゃんのお誘いを頂いて、掛川を中心に行われているオフラインの交流会「いろりの畑」に参加しました!


【はじめに】行く先々で遭遇する穂奈美ちゃん

 本題に入る前に、穂奈美ちゃんと私の接点について。(読み飛ばしてOK)
同じ大学ではあるものの、大学内で話したことはほぼありませんでした。しかし、私がひょんなことから訪れる先々(とある福祉施設、古着のポップアップ、アートイベント等…)で顔を合わす機会が多く、なんとなくお互いに存在は認知している関係。確かはじめてちゃんとお話したのは、私のゼミの先生が主催した「プリズンサークル」というドキュメンタリー映画をみて、ソーシャルインクルーシブについて考えるシンポジウム。そこで私は、国際文化学科の子と社会に対して抱えるモヤモヤが似ている上に、彼女がその想いをアートを切り口にして考えていることに(勝手に)嬉しくなり、どのようにソーシャルアクションとアートをつなげているのか気になるようになりました。
 後日、お互いロックバンドのQueenが好きということも発覚!(笑)

 その日は、掛川の倉馬の里という里山で畑作業をした後、おやつを持ち寄ってお茶会をする、ということだけ聞いていました。どんな人が何人来るのか、そもそも日本語が通じるのか、というか、メンバーでも何でもない私って受け入れてもらえるの?など、前日は少し不安になりました。それでも当日の澄み渡る秋晴れの空を見たら、そんな気持ちもワクワクに変わりました。

詳しい自己紹介はさておき、畑!

 この日いろりの畑に集まったのは、私と穂奈美ちゃん含めて8人ほど(うち2,3名が外国ルーツの方っぽい?)。里山を管理するおじいさま方とあいさつを交わし、名前と住んでいる場所を紹介していきなり畑作業!?ゆるいなあ~!
 この日は、大根の種をまき、ブロッコリーの苗を植えました。慣れていない畑作業でしたが、和気あいあいとおしゃべりしながら、まだ会ってから1時間くらいのみんなで達成感を共有しました!教えて下さったおじい様がこれまた褒め上手で(農家にお嫁に行けるとお墨付きを頂きました)、この時はすっかりいい気になってしまいましたが、作物を育てるのは大変な作業だとしみじみ感じました。

良く育つように細かな工夫がたくさん詰まった農作業

お茶会で突然始まったステージ

お茶会をしたもりのなかの森の中のテーブル

 畑作業を終え、お茶会で体を休めます。私たちが作業をしている間に、おじいさまたちが立派な釜戸で焼き芋と焼き栗を作ってくれました!みんなで持ち寄ったおやつを囲みながら談話する中で、穂奈美ちゃんと同じ演劇サークル「ぷちまり」のメンバーでいろり初参加の女の子が即興・浦島太郎を演じてくれることに!見ている人を巻き込んだ笑顔になるお芝居でした^^それに続いて歌を披露する子が出てきて、まるで屋外ステージで盛り上がっている気分でした!私も何か一芸あればなあ…(笑)すっかりみんな仲良くなり、日が暮れ始めてこの日ははお開きでした。

実は黒焦げになった栗たち、火加減が難しい!
焼き芋は大成功!熱々をカンパイ!

里山を守り暮らすおじいさまたち

 掛川駅まで送り届けてもらう道中の会話から、おじいさまたちが里山を管理する理由を少しだけ知ることができました。
 日本では、適切に管理されていない山が多いため、動物が下りてきて農地を荒らすことが多いのだそう。ただでさえ低価格で農作物を売る小規模の農家さんにとって、これは大ダメージであり、辞めてしまう人が多いようです。そして、農業従事者が高齢化し、食料自給率がほぼ50%まで落ち込んでいる現状に、私たちはもっと危機感を持ち、自分の暮らす環境や身の回りの食べ物や使うものを改善していく癖をつけなければならない、と語ってくれました。こう書くと、どこか説教じみていると感じる人もいるかもしれません。しかし、手作業で育てたもののおいしさや達成感をみんなで共有して楽しんで暮らすおじい様たちからは、街中の便利な生活では感じることのできない、ぬくもりや豊かさがありました。

畑までの道の、おじいさまが植えたコスモスたち

 道の途中で、絵を描くことが好きな里山の会の会長さんのアトリエにお邪魔し、作品たちを見せてもらいました。様々な訪れた国の風景や生き物、中には歴史を題材にした、カラフルで生き生きしていた絵画たちから、この世のありとあらゆるものへの慈愛を感じてほっこりしました。 

【さいごに】耕されるのは畑だけじゃない

 私はいろりのオンラインサロンの活動に参加したことはありませんが、今回のいろりの畑の様子から普段の雰囲気が伝わってきました。私は自然と触れ合いリフレッシュしたい、という動機で参加しましたが、想像よりも多くの人や物に触れ合うことができて、とても癒されました。日本語を練習したい、友達や居場所が欲しい、参加する理由が何であれ、いろりに集まった人は迎え入れ、楽しい時間を共有するという「いろり」という名前に込められたあたたかい想いを感じました。

誘ってくれた穂奈美ちゃん、ありがとう!

 この活動は2022年度のアーツカウンシルしずおかの助成金を受けていたそうです。「いろり」でできたつながりが生む創造性について、現時点では明確な形では浮かんでいないかもしれせん。しかし、いろりでしか集まり得なかった人々でつくる畑、生まれたステージ、おじいさまたちの想いからは、その可能性を覗くことができると思いました。これからも応援しています。大根が収穫できる時期になったら、またみんなに会えるのが楽しみだなあ。お邪魔しました~!




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