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【ライブレポ】原始五年巡回公演「喫茶・愛のペガサス」@ロームシアター京都(2024.01.30)/ずっと真夜中でいいのに。

まさに圧巻のパフォーマンスだった。

興奮した、感動した。こんな簡単な言葉では伝えられないような気持ちになった。それはつまり愛であり、エーリッヒ・フロムの言うところの「愛するということ」なのかもしれない。

本来は、2023.12.14に開店されるはずだった京都公演は、ACAね氏の体調不良により中止に。ただ奇跡的に振替公演が行われ、それが2024.01.30だったわけだ。今日は、この振替公演の模様に加えて、私と「ずっと真夜中でいいのに。」について、書けるところまで書いてみたいと思う。とはいいつつ、そこまで、長くは書けないと思うので、おそらく途中で力尽きる。

そもそも、私はこれまで一人のアーティストを除いて、「ライブに行きたい!」という感情を抱くことはないし、そこまで音楽に詳しいわけでも、好きなわけでもない。そんな自分がライブに行きたいと思って行動したというのは、今振り返っても、相当な想いだったのだろうと思う。

その一人のアーティストとは水樹奈々であり、彼女については11年近く追い続けた。私と水樹奈々については、こちら↓を参照。

〇出会い


まず、出会いから。出会いなんて大したものは正直ない。おそらく3年くらい前、当時YOASOBIとヨルシカは知っていたが、それらを「夜行性」という括りで呼称する流れがあると知り、そこで「ずっと真夜中でいいのに。」の名前を初めて知った。そこからすぐに楽曲を聞いたわけではないが、何かの拍子で(それはおそらく通勤時間のふとしたタイミング)、アップルミュージックで聞いてみたのが初めてだろう。

その時の感想は、「思ったより良い」という程度のものだった。名前の奇抜さ(?)から、なんとなく自分が敬遠しそうな音楽(かなり曖昧な表現)だと思っていたら、案外良い印象だった。その時、何の曲を聞いたのかは残念ながら覚えていない。おそらく「お勉強しといてよ」、「MILABO」、「ハゼ馳せる果てるまで」のどれかだったと思う。当時全て配信されていたのかわからないけれど。

そこから何があったのかはわからないが、たまーに聞くようになっていた。それも特定の楽曲を聞くのではなく、サブスクで適当に聞く、という感じ。次第に、「ハゼ馳せる果てるまで」を繰り返し聞くようにはなっていたと自覚している。そこから、ランニングのプレイリストに数曲入ってくるようにはなっていたが、そこまで注意深くZTMYについて、考えることも調べることもしていなかった。

かろうじて、ACAねさんという存在を知り、なんともミステリアスな世界観を持っているんだなぁという程度。そこから何があったかはわからないが、ちょうど1年くらい前から頻繁に聞き出し、このACAねさんという存在が気になり始めたのだ。それは主に歌詞から入って、PVをはじめとする世界観を意識し始めたことを意味している。

そして、これは鮮明に覚えているのだが、ライブに行きたいと思った明確なきっかけは、初めて「花一匁」を聞いた時だ。

これはランニング中に聞いていたラジオから流れてきた(つまり、その時点では特に新譜も追っていなかったのだ)。イントロで惹き込まれ、歌いだし、サビ、エンディングに至るまで、聞き入ってしまった。自分の中にイナズマが落ちたような感覚だった。冷凍庫から出したばかりの氷を入れたグラスに炭酸水を注いだ時のような胸騒ぎ。その意味はよくわからない。ただ、たしかにそう感じたのだ。

ラジオでの再生が終わった後、DJがこの楽曲のこととアルバム「沈香学」のことを教えてくれて、その後すぐにYouTubu Musicでもう一度聞いた。この時に、ライブに行こうと思ったのだ。

ここまでで既に書きすぎているような気がするので端折るが、そこからはいろんな曲を聞きまくった。そして、歌詞もよく読むようになっていた。意味なんてわからないけれど、それを理解するように、自分の中でその意味を探すような、そんな楽しみ方をしていた。

中でも、「花一匁」に加えて、「あいつら全員同窓会」と「ミラーチューン」が大好きだった。これも聞きまくった。でも、全然飽きなかった。いつまででも聞いていられたし、なんなら普段は全く行かないのに、一人カラオケにも行って歌った。なんかもうそういう気分だったのだ。

今回のツアーが発表されたとき、京都でも2公演含まれていたので、喜びを隠しきれなかった。しかも、大阪も2公演ある。プレミアムに入会しようかとも思ったが、そこは躊躇し、普通に公式から京都・大阪の4公演申し込んだが、全て落選。舐めてた。その後もう一回チャンスがあったが、これもあえなく撃沈。どうしても諦めきれず、徹底的に調べに調べ、チケジャムで譲っていただき、どうにか確保。嬉しかった。早くライブで歌声をパフォーマンスを体感してみたかった。

そう思っていた矢先にまさかの中止。誰も悪くない。むしろ、振替公演がセットされていることに驚いた。全てのツアー日程が終わった最後の最後の千秋楽。結果的にそういう日程になり、むしろもっと噛み締めることができたのかもしれない。そして、当日を迎えたわけだ。

〇ライブ当日


レポ的な何かでもないけれど。

もちろん、初めてのライブでありそれほどライブについては調べていかなかったので、始まってからのノリがわからず、開演前は少し緊張していた。ということで、緊張を紛らわすために、近くのコンビニでビールを流し込み、会場に入ってからも、ホワイエでアルコールが飲めたので、ハイボールを飲んだ。これが最高においしかった。これで準備は完了。あとは、しゃもじを使うことくらいは理解していたので、購入はしておいた。この時点でどう使用するのかは不明。

さて、いちいち演出について細かくは書かないが、適当に。

一曲目の「マリンブルーの庭園」。会場は着席状態。「あ、そういう感じ?」と一瞬思ったが次の瞬間には聞きほれていた。正直ほとんど聞いたことがなかった楽曲だったが、今となっては、めちゃくちゃ聞いている。幕がはけて登場したACAねさんが神々しい。あれだけイヤホンから聞いていたACAねさんが目の前で歌っていて、その声を同じ場所で聞けていることに感動して、自然と涙がこぼれてくる。

続いて「ミラーチューン」。たぶんここで、みんな立ち出したような気がする。死ぬほど聞いた2曲。死ぬほど聞いたミラーチューンのイントロを聞いた時、涙がとまらなかった。感動とかそういう感情でもない。それを超越したような涙だったと思う。良い。良い。とにかく良い。

そう、そこからも本当に圧巻だった。単に歌が上手いだけではない。パフォーマンスすべてが少なくとも、私の心を震わせるようなその何かを確実に伝えてきてくれていて、自分もそれを確実につかみ取ろうとしていた。

アンコール後の「花一匁」も、涙、涙だった。その前の「あいつら全員同窓会」も。

このACAねさんが創り出す世界観がすごい。本当にすごい才能に触れた気がした。これまでも歌詞を見て、「すごいなぁ、よくこんな歌詞かけるなぁ」と思っていたが、ライブもすごい。コンセプトの創り込みが半端ない。というよりも、これはおそらく単純にACAねさんがやりたいことであったり、感じている世界なのだろう。仮にそうなのだとすると、私は今回少しでもACAねさんの世界の一部になれたことに喜びを感じる。

そして、これからもまだまだACAねさんの世界に触れていたいと思う。それはもう異性としての存在とかではなく、それを超越した存在として、彼女がどんな新しいものを創るのか、どんな世界に連れて行ってくれるのか、是非、この身体で感じてみたい。

だから、私はこれからもZTMYの世界にしばらくは通い続けるだろう。3年前初めて出会ったときには、こうなるとは思ってもいなかった。ライブに行ってからは、これまであまり聞いていなかったライブで歌われた曲をずっと聞いている。そして、頭の中ではずっといろんな曲がループしている。

最後に思い出したので。おそらく自分は女性ボーカルの楽曲が好きなのだ。これまでを振り返ると、その傾向が強い。ライブに行くのは水樹奈々だけだったが、他にも女性ボーカルの楽曲が好きだ。特に、一生懸命歌っているというと語弊があるが、裏声ではなく、声量MAXで、まさに叫んでいるのと紙一重の歌声がとても好きで、今回のライブでのACAねさんのその部分の歌声が素晴らしすぎて、何度も聞きたくなった。これは男性が出せないものだからなのだろうか。

そして、その声を生で身体全体で受け止められるのは、やっぱりライブでしかないのだと思う。こういう場に行くことの意味を改めてしることができた。


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