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小田急小児IC料金50円は良策

小田急線が小児IC料金を一律50円に引き下げるという発表を聞き、小児料金の一律引き下げは直接間接の経済効果が大きく、引き下げ分の賃料分は簡単に元が取れているのではないかと思いました。

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そもそもの減収分はどれくらいか?

小田急線の路線図を改めて眺めると、新宿と小田原、あるいは江ノ島を結んでおり、営業距離が他の大手私鉄よりも短く、人口密度も高い地域をつないでますね。最長区間の運賃が大人891円、小児料金445円。これを50円に引き下げても、引き下げ幅は400円以内。
さらに、小田急線の運賃収入が19年度1195億円で小児比率はおおむね0.7%だそうで、値下げ前の運賃収入は8億円くらい。小児ICを一律50円に引き下げる減収は2.5億円程度の想定のようです。

この施策による経済効果

そもそも、2.5億円程度の減収でこれくらい報道されるとなると、それだけでも広告宣伝効果で元が取れそうですが、小児料金の引き下げによる直接効果は以下のものが考えられます。

・乗車回数の増加
小児自身で電車に乗る回数が増えることもあるでしょうし、家族連れで出かける際に小田急線を使うということも増えるでしょう。親子でちょっと遠出して出かけるだけで、400円の値下げ分って、回収できてしまいますね。

・駅構内や周辺のグループ会社の売上増加
小児ICのチャージ方法って家庭によってバラバラだとは思いますが、毎月1000円の定額チャージだとして、今まで100円区間を10回乗っていたものが、50円10回になると500円余剰が生まれますね。これが次の乗車に当てられると思いますが、500円へそくりができて、お菓子とかジュースを買ったりすると、駅構内や小田急グループの小売店の売上が増えます。自分が子供だったら、どうやってこのへそくりを生み出すかを考えましたね。

売上以外の良い効果

・完全IC路線化の実現
全面IC化による金銭管理業務の減少やこれによる業務効率化がさらに進むことが期待できます。IC交通カードは2002年のSuica誕生から、20年かけて相当なスピードで浸透が進みましたが、完全キャッシュレス化は小田急線で達成することも期待できます。

・小田急ブランドの向上
子育て世帯にやさしい企業って、企業イメージがいいですよね。これは企業ブランドに大きくプラスに働くし。

・沿線人口の維持、増加効果
首都圏もいずれ人口減少が始まります。人口減少が始まるって困るのは、年齢別の構成比率が極端に歪になることで、例えば、10代までと60代以上が人口の大半を占めるU字型になってしまうと都市計画が子供と高齢者シフトになってさらに高齢化が進むということになってしまいます。
この点、小児の子育て世代20代から40代が沿線に住むと、人口構成のバランスが取りやすくなり、都市計画が全世帯にやさしい形になるのですよね。

次に続く大手私鉄会社はあるか?

首都圏の大手私鉄で新宿をターミナルにしている会社でいうと、東急、京王、西武あたりが同じ手を打ってくるかが気になるところ。西武新宿線はあまりに沿線が長く、ちょっと難しいかなと思っています。一方の東急と京王は小田急と同じような路線の条件であることも考えると、小田急の状況を様子見しながら、同じような手は打ってくることが予想できます。JR東日本、東武、京成はどうでるか、関西私鉄は静観かというのも気になります。

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