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キャプテン2から考える続編の難しさ

かのキャプテンの続編にして、プレイボール2の続編にもあたる、キャプテン2の単行本を2冊読み、プレイボール2を読んだ後と全く同じ感想を抱いたので、その感覚と某映画シリーズを観終わった後の感想が同じでした。

キャプテン2誕生までの歴史的背景

おおもとは、ちばあきお先生が1970年代に週刊少年ジャンプでキャプテンを連載し、墨谷二中を舞台に4代(4学年)の中学野球を描き、後日、その連載と並行して、初代キャプテンの谷口の高校時代を描いたのが、プレイボールです。

前者は強豪校である青葉中学の補欠であったキャプテン谷口がすさまじい練習を基礎に強豪校と戦うことが四代にわたり引き継がれる物語と4人のキャプテンの個性、ダイビングキャッチ後のどんぐり返り、柵越えの効果音、親子がそっくりな父母が時に出てくること、大会の直前に必ず取材をする新聞社の記者等、背景画が当時の下町をよく表していて、ディテール含めて、魅力的な漫画です。あと、1代目キャプテン谷口、2代目丸井ときて、3代目のイガラシだけが、なぜかカタカナ表記なのですが、いまだに謎です。

で、2017年にコージィ城倉氏がプレイボールを続編として、プレイボール2の連載を開始。この連載はプレイボールの連載終了後、37年ぶりであったことと、プレイボールが高3春で終わっていたため、その夏の甲子園出場はどうなるという点も含めて、野球漫画好き界隈では盛り上がった記憶があります。

プレイボール2の一話目を読んだ感想

一話目は公式サイトから無料で読めますが、読んだ感想。

あの、プレイボールが甦った!

そう、ちばあきお先生のタッチや細かな描写が別の作者で完全に再現されている!違う作者による続編なのに、これは今後の展開も期待できる。

が、萎む期待、これって、あの作品を見たときと同じ感想

ところが、話が進むにつれて、むむむ、このキャラこんなこというか?とか、この選手が活躍していないとか、俺の/私のキャプテンと異なる動きをすると、それぞれ文句が出てきます。かく言う私も最初の3巻くらいまでは単行本を買っていましたが、もういいかなと思って、プレイボール2を読むのを止めてしまいました。

これと同じ感想をいただいた映画シリーズがあります。そう、スターウォーズのエピソード7から9です。

あのシリーズは今までのジョージ・ルーカスの手から離れた作品であること、フォースの力をもったジェダイの直系とダース・ベイダーっぽい役割が次世代となったこと、エピソード7ではエピソード4をなぞりつつ、それ以外の過去の作品の既視感がある演出でスター・ウォーズファンのみたいものを見せてくれたことが上記の第1話を見た感覚とそっくりです。

そして、問題のエピソード8。ここで、製作陣は前作で引っ張っていた話を前に進めた結果、脚本に大穴があるという点を除いても、旧作のファンから大きな反発を受けました。特に、前作の主人公、ルーク・スカイウォーカーに対する扱いがあまりに酷く、これなら出さないほうが良かったくらいに思いました。これも、上記のプレイボール2と同じ。すなわち、過去作のファンが思う、自身のスターウォーズと作品が離れることを許さないわけです。

個人的にはディズニーが製作した3作に付き合った結果、これ以上、ディズニーが作るものに関わるのは時間の無駄と判断し、ありとあらゆるディズニー関連を一切かかわらないようにしています。これにはピクサー作品もだし、配信も含んでいます。

では、キャプテン2はどうかといえば

翻って、キャプテン2はどうだったかというと、単行本2冊目の途中までは、近藤キャプテンの世代の最後の大会なのに、試合描写が薄いという点は大きな不満を抱えつつ、まあ、話の展開としては許容範囲かなというところです。

が、どちらかというと、近藤キャプテン時代が終わりを告げたその後、墨谷二中の五代目キャプテンを描くのかと思いきや、なんと、墨谷高校の話=プレイボール2の続編へとつながります。これは詐欺では?と率直に思いました。さらに、2巻では、谷口キャプテンが卒業後に監督就任はまだしも、谷口の色恋も描こうとしている。しかも、70年代当時の若者を再現しようとして、描写も正直にいって滑っていると思います。ということで、プレイボール2を再現しちゃっている感じですね、この作品群も。

違う作者が作る続編が難しい理由

これまで述べてきたとおり、やはり、過去作のファンの思う作品と続編には必ず差が出てしまい、過去作のファンから不満が必ず出ること、かといって、新規のファンが生まれるかというと続編である以上、完全に新しいファンも生まれにくいことが、違う作者が作る続編が難しい理由だと思います。


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