石井GM時代のイーグルスを振り返る

正式に発表された石井監督の退任。シニアディレクターという役割で球団に残るものの、2022年までは兼務であったGM職にも戻らなかったので、一線から引いた立場になるということでしょう。
石井GM就任後の2019年シーズンから2023年シーズンを振り返り、石井GMがチームにもたらしたもの、もたらさなかったものを考えてみます。

石井時代の功績1 FAで大物戦力の獲得

実は2019年以前も、今江敏晃選手(ロッテから)、岸孝之投手(西武から)とFAで大物選手を獲得していましたが、2019年は浅村選手、2020年は鈴木大地選手と元々いたチームの看板選手を獲得することに成功しています。これは色々なことが言われていますが、成功要因の1つに石井GM本人の魅力があるように思えてなりません。日ハムを自由契約になった西川遥輝選手を口説いたり、田中将大投手の日本復帰の際に巨額の年俸を三木谷会長から引っ張り出したりとGMとしての腕はなかなかのものでした。

石井時代の功績2 テーマのみえるドラフト

2018年オフのドラフト1位は辰己選手、2位は太田選手、と当時の適任者がいなかった、あるいは、ベテラン選手がレギュラーでそろそろ世代交代が必要なところを埋め、2019年オフのドラフトは将来の主軸として、野手を多く獲得、2020年オフのドラフトは若手投手が全般的に不足していることへの対応として六人獲得のうち五人を投手、しかも、ほとんど即戦力候補を獲得、2021年オフのドラフトは1位と3位に素材型の高卒野手を獲得して将来への投資、2022年オフは先発投手の駒不足から投手を多く獲得と足りないところやもっと人を増やしたいところをドラフトで獲得しているというのがわかります。これ以前の星野SD時代は狙いがよく分からない年が多かったのですよね。今から振り返ると。

石井時代の功績3 大型連敗の減少

上記の実現により戦力が底上げされた結果、毎年恒例の二桁連敗を見ることが減りました。昔も今もイーグルスといえば春先が強く、夏場に失速、シーズン終盤に復活というサイクルを続けていますが、夏場の失速での連敗が少なくなり、カード負け越しと勝ち越しが交互に繰り返されるというのをよく見るようになりましたが、石井GM時代の特徴かもしれません。戦力の底上げの代償がツボに入った時の強さを失ったことかもしれませんが。

石井時代に実現できなかったこと1 生え抜きの若手スターの誕生

イーグルスのスタメンを見ると、中堅からベテランが多いことにゲンナリすることがよくあります。今シーズンこそ、村林選手と小郷選手の台頭で少し若返りましたが、打線の平均30歳あたり、先発ローテ投手も社会人出身の瀧中選手が若手側というのはどうみても、年齢が高い。いや、スターになる資質、資格がある選手は確かにいます。野手で言えば、黒川選手とか武藤選手とか、投手でいえば今年ブレイクしてもおかしくなかった藤平投手とか荘司投手とか早川投手とか。が、戦力を底上げしたおかげもあり、常時レギュラーで固定できるような環境にないので、いまだに若手のスター選手を育てることはできませんでした。

石井時代に実現できなかったこと2 観客離れ

2019年が観客動員数のピーク、そこから3年間はコロナでそもそも入場観客数に制限があったこともあり、V字回復するかと思われた2023年はなんと12球団最下位の動員数。さらに、前期比でも唯一マイナスとなる体たらく。私も普通の人よりはイーグルスに関心持っていますが、今シーズンは本当に興味が持てませんでした。先ほどの若手スターの不在に加えて、ちょっと前まではチームの顔だった選手がいなくなりつつあるというのも大きいのではと思います。

石井時代に実現できなかったこと3 夏場に弱い

昔から春先強くて、途中で失速というのがイーグルスと思いがちですが、5年目のシーズンなんかは夏場でも失速しなかったし、2013年も夏場の失速なし。潮目が変わったのは2015年から。オールスターまでは優勝しそうな勢いだった2017年も首位に長くいた2019年も夏場に失速。開幕から爆走した2022年に至っては梅雨入り前には大失速。2020年以降、ソフトバンクの主力がピークをすぎてチーム力が明確に落ちていたので、2022年は何とか優勝したいところでしたが、ロケットスタートの後に勝率5割すら維持すらできずに、なんと借金フィニッシュ。その間に着々と若手が育ったオリックスが圧倒的な力でリーグを制覇してしまいました。

まとめ

こう見ると、石井GMはチームの地力は強くしたけど、現場の力は弱いままで常勝チームを作るには道半ばということですね。来シーズンは、村林選手、小郷選手がシーズンを通してスタメンを張れるか、先発ローテに早川投手と藤平投手が1年間いることができるかというところが今のところの興味ですね。

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