かのおしゃれ白物家電メーカー、バルミューダが一部界隈では鳴り物入りで参戦したスマホ事業ですが、早々に完全撤退するようです。
バルミューダって
創業20年目のメーカーですが、何と言っても、大手電機メーカーの白物家電事業といえば、平成不況化で事業撤退、大幅縮小、三洋電機のように会社名がなくなってしまったところ(実は外国だとまだあったりするのですが)ですが、新興メーカーでかつ価格競争が厳しいところに高価格帯で勝負してそれなりに売れるということを実現した、ある種の日本メーカーの生きる道を切り拓いた会社でもあります。
バルミューダの最新の決算情報
会社の決算説明資料を読むと、2020年から始まったコロナの巣篭もり需要が終了したため、どの製品もどの地域でも売上が下がったようです。この会社は地域別のとして、日本、中国、韓国、北米という形で開示をしているのですが、どのエリアも軒並み、前期比で減収。世界中がポストコロナに移行したので、今まで我慢していた外食や旅行、娯楽支出が増える中で、敢えてバルミューダ製品を買うという動機がみえにくいし、トースターにせよ、ケトルにせよ、LEDにせよ、どの製品のライフサイクルも割と長めですよね。既存顧客の買い替え時期はまだ先のような気もしています。
スマホ事業に対する勝ち筋はあったのか?
こういった環境下で、2021年にスマホ事業に手を出すのは分からなくはないですが、スマホ市場といえば、コスパ最重視、かつ、ほぼ毎年新作が出てきて消費者の目が肥えに肥えているところです。大半の人は最後発の市場参入は悪手だったと思ったでしょうが、「成熟市場で製品のコモディティ化が進み、国産メーカーがほとんどいないところでプレミアム価格で勝負」とバルミューダの勝利の方程式に当てはまっているようにも見えたので、ひょっとして何らかの市場ポジション作れるのではと思っていました。
が、結果は事業撤退。
これは実に簡単で市場調査不足と製品の魅力がなかったこと。出てきた製品は2015年くらいによく見たアンドロイド製品。2021年の段階だと画面サイズは小さいし、スナドラもミドルレンジ用のやつだし、バッテリー容量も小さいし、カメラの数年前くらいのレベル。これが3万円くらいであれば誰も文句は言わないのですが、何と10万円越え。さらに、既存のスマホメーカーに喧嘩を売っているようなあまりに挑戦的な売り出し方(あまりに恥ずかしいので敢えて事業参入時の会社の言い分は言いません)。案の定、YouTubeでは酷評の嵐で逆に気になって、実物を見に行ったりもしました(当然、買いませんでした)。
今後の展望
先に述べた通り、バルミューダの勝ち筋は「成熟市場で製品のコモディティ化が進み、国産メーカーがほとんどいないところでプレミアム価格で勝負」なので、次なる成熟市場を探す必要がありますが、もうほとんどないのも事実。
ということで、当面は厳しい局面が続くと思いますが、継続して決算見て行きます。