Hack後にどう生きるかが示唆に富む一冊

橘玲の思想

橘玲さんは、日本の作家で、経済小説や投資に関する著作を手がけています1。彼のデビュー作は『マネーロンダリング』で、その他にも『永遠の旅行者』や『タックスヘイヴン』などがあります2。また、最新刊の『言ってはいけない―残酷すぎる真実―』では、社会の厳しい現実について探求しています3。1: Wikipedia2: 橘玲 公式BLOG 3: 新潮社

Bingより

最近だと「言ってはいけない」シリーズがヒットしている橘玲。彼の思想は昔から一貫していて、一言で言ってしまえば、
①世の中は残酷(不公平)
②その仕組みを踏まえて生き残ろう
ということに尽きる。
例えば、専業主婦は2億円損するという本があり、この本では、①日本の賃金体系は職能式になっていないので、産育休で一時休職しても、休職していない人と比べると賃金で不利、離職はさらに不利、②実際に賃金損失を計算すると少なくとも2億円以上になるので専業主婦なんかやるな、という主張をしている。

「専業主婦は2億円損をする」というタイトルの本は、日本の作家である橘玲さんによって書かれました1。この本は、専業主婦として働かない選択をすることで、生涯の賃金を失うことを指摘しています。具体的には、大学卒の女性が60歳まで働いた場合、約2億1590万円を稼ぐことができるとされています2。専業主婦になることで失う収入は、この金額に退職金を加えたもので、約2億5000万円から3億円になります3。1: Amazon2: PRESIDENT Online3: 文春オンライン

Bingより

これに対する批判としては、出産育児というものはかけがえのないもので経済的価値に還元する方がおかしいとか、専業主婦にも労働価値があり、そのままキャリアを続けていた場合と単純に比較できないとかの反論もあり炎上した。
個人的にはよっぽどの条件がない限り、専業主婦になることは利得よりも損失が多いというのは説得的であるし賛成だけど、この表現に腹が立つ人は多いのではないかと思う。
この著者が好きな表現に黒人は白人よりも知性が低いという言い方がある。これはベルカーブ曲線の説明をする際に、人種別のIQのベルカーブを描くと、中央値と平均値はいずれも白人の方が高いということの裏返しの表現なのだが、これもイラッとさせる表現である。

本書で取り扱うテーマ

ふつうに生きていたら転落する。 知識社会化が進み、人生の難易度がますます上がっていくーー。 残酷な「無理ゲー社会」を攻略するためのたった一つの生存戦略とは? 才能のある者は人生を攻略(HACK)し、才能のない者はシステムに搾取(HACK)される。 常識やルールの「裏道を行け」! 【本書の内容】「女性嫌悪」に走るモテない男たち/ナンパ師が手にし損ねた「ほんとうの愛」/道徳的な「モテ戦略」とは/「寝てるだけでお金を貯めた」天才の極意/ブラックジャック必勝法は存在する/ノーベル経済学賞の先を行け/ギャンブルは「向精神薬」/大学生の50%が「ネット中毒」/「ちがう自分」という強迫観念/「自己実現した主体」が幸福をもたらす/トランスヒューマニズムと「優生学2.0」/「寝そべり族」はなぜ生まれたか/自己啓発としての「ミニマリズム」/「ストア哲学」は究極のメンタル術 ……ほか

発行元公式サイトより

本書では5つのテーマを扱っている。恋愛、金融市場、脳、自分、世界の5つである。本の構造としては、①世の中は残酷(不公平)、②その仕組みをうまく活用した=Hackした人の事例を紹介、という構造となっているのだけど、②Hackできたところでその人が幸せかどうかというところまで考えさせてくれる点が本書のいい点だ。例えば、モテる秘訣をHackできた人はその後Sex依存症になってしまい、結局パートナーと別れてしまう話はとても示唆に富む。今の世の中だと、記憶に基づいて性的被害を訴えられるとそれだけで社会的に抹殺されてもおかしくないし、パートナーは限定すべきというところに落ち着く。
そのほか、金融市場の歪みを使って巨万の富を生んだ人、依存症の最新研究、自分とは何か、ミニマニスト、Fireが生まれてくる背景といった話もあり、パラパラと拾い読みでも面白い一冊。

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