約束手形は2026年に廃止へ
政府は2026年までに金融機関が設置している手形交換所の終了を要請するようです。この要請のもととなる検討会において、手形から他の支払い方法への変更が提言されているので、それに従った要請といえます。
https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/kenkyukai/shiharaikaizen/2021/210315shiharaikaizen_report.pdf
手形取引の問題点
報告書において、手形取引の問題点として、①支払い期間が長い、②外国企業との取引は振り込みなのに、国内企業との取引は手形が利用されている、③決済期日前に換金した場合の手数料が受取側負担なのは不公平(利息相当なので振り出し側が負担すべき)、④紙での発行で管理コストが高いという点を取り上げています。
手形取引を止めたときの問題点
建設業や下請け製造業といった手形取引が多い業種を最近をみていませんが、10年くらい前だと大手企業は電子記録債権へ移行、地場企業はいまだに半金半手や3割現金7割手形といった決済条件が多かったですね。上記の報告書において、手形取引を止めない理由のうち手形利用者からの回答割合が多いものとして、過去からやっているからという点と資金繰りの点が挙げられており、手形取引を止めたときは一時的な資金繰りの混乱は生じることは想定されます。あと、電子記録債権へ移行する際にはその登録が必要だし、支払い側と電子記録債権の取扱機関が同じでないと受け取れない(別の機関だと振替に関する手数料がかかる)という点も電子記録債権への移行に対するハードルになると思います。
が、逆にいうと、短期的な資金需要が発生することが見込まれるので、金融機関としてはきめ細かな資金供給できるチャンスにもなりますね。
印紙税減るけどいいのかな
財務省の視点だと、決済方法が手形から電子記録債権へ変わると、手形に貼り付ける印紙税がなくなるけど、それはいいのですかね。まあ、決済総額が平成のはじまりが107兆円で足元だと25兆円とかその規模まで減ったので、この25兆円の課税標準がなくなってもそこまで痛手ではないでしょうが。
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