同時通訳中 2023/6/30

今日も未知の話を手探りで通訳。事前に共有される資料とは違ったもっと細かいものが会議中に登場するのはあるあるだけれど、そうすると事前の下調べも何もできないのでロクな通訳ができないことを依頼主には理解していただきたい。。。背景の事情が全くわからないままに、全部知ってる前提でスタートするんだから。
逐次じゃなくて同時だから、まるっと全部スピーカーが話し終えるのを待たずに見当をつけて、つまりある程度見切り発車で訳出しないと間に合わない。その後訳しながら聞こえてくる情報を拾って補強していくイメージ(私はね)。視界がとても狭いのに猛スピードを出して車を走らせるような心許なさを常に抱えている。脇見ができない中で「本当はもっと適した訳語があったはず」とか「あーキーワード聞き逃した」「XXさんて誰だ?あ、〇〇さんのことか」「その言葉どういう意味だっけ?」「今の否定形だった?」「さっきのはもしや聞き間違い?」と色々なことに心が引っかかる。
事前に資料を完璧に読み込んで、背景事情も全部把握できていれば、そういう迷いや気掛かりが抑えられるのに。そのためには慣れるしかない。何度もこういう体験をしながら、反射神経を鍛え、内情を探るしかない。全ては高額な時給のために(ただしフリーでやる方がだいぶギャラは高い)。話が専門的じゃなきゃどうってことないのだけど。通訳者のギャラが高い業界は製薬、金融、ITだと言われている。専門性が高いのだから、しょうがない。

アジア圏(日本語含め)の訛りモロ出しの英語を聞き取るのがトラウマ級に難しい。ヨーロッパ圏のノンネイティブは英語になるとスピードが落ちる傾向にあるが、何故かアジア勢は早口なままだ。
発音、アクセント、リズム。
それらは言語を成り立たせる重要な要素である。いくら文法が正しくても帳消しにはできない。音声を介しているのだから。ダンスで言うなら、振り付けは完璧に入っているけど、音と合ってないみたいな残念さ。
ちょっと努力すれば改善されるのに。

もっと言うならオンライン会議でマイクを使わない人も困る。雑音が入るので聞き取りにくい。イヤホンについてるマイクで良いんだから使って欲しい。自分の発声や滑舌にそんなに自信があるのだろうか。。。

要するに、今日も苦戦しました、せめて事前の資料共有とブリーフィング、本番中のマイクとイヤホンの使用をお願いしたい、ってこと。AIが全部きれいに通訳してくれる日が来ると良いんだけど、発する言葉がそのまま訳されることになると思うので、回りくどい表現が多い日本語は誤解されそう。それともAIは「月が綺麗ですね」を気を利かせて I love you.とするのかな。

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