同時通訳中 2023/8/2

社内通訳をしていると(その会社の社員というスクリーニングが入っているので)大体同じ範囲の知的&教養レベルを持ち、同じような用語を操って考えや意見を表現する人たちに当たる。その幅の中で通訳しやすい人(話がわかりやすい人)とそうでない人がいて、今日は珍しくそれを超えそうなくらい振り切って訳しにくい人にあたった。
それはつまり、とどのつまり、何を言いたいのかわからない人、要点が見えない人だった。
これが早口であれば多少話が進むのを待ってみてからかいつまんで訳すという作戦が取れる(むしろそれしか選択肢はない)。しかしその日本人の彼はゆっくり喋っていた。言葉がポツリポツリと出てくる上にその相関関係が見えない。どこに向かっているのか推しはかりにくい。でも全貌が見えるまで待ったら通訳ソフトの故障かと思われるほどの沈黙が発生してしまう。何かは私も言わないといけないので焦る。直前に選んだ接続詞を次の瞬間には自ら否定しながら進む。
また日本語という言語の特性上、最後に全部否定したり、丸ごと別の誰かのセリフだったりといういわばオチのようなものが来る。
オチまで行けばいいけど、途中から別の論点にすり替わったりもして、相当に混乱した。私が混乱するんだから通訳聞いてる人も混乱。これ私の力不足なのかしら。。。釈然としない。
もちろん私の頭が寝不足や精神的ストレス等の理由でスッキリしていないときは、たとえスピーカーが明晰な頭脳とスッキリしたロジックで喋っていても、振り切られて迷子になることもある。頭では分かっても言語を切り替えて自分の口から出てこないとか、噛みまくるということも。
コンディションを整えて負荷に備えるしかない。一回きりの真剣勝負だから、本当にアスリートか即興で踊るダンサーか、というくらいナマモノ感が強い。そのため時間外のトレーニングがものを言う。動画やポッドキャストで気になった言葉を調べたり、色々な人の喋り方に触れたり、シャドウィングしたり。映画も勉強になる。
最近当たることが多いチャイニーズアメリカンの女性Cさんは非常に訳しやすい。適度に早口で、要点のみを話し、言い切ってくれる。彼女が会話を仕切ってくれると、全てがクリアになる。他の会議参加者もつられてハッキリ喋ってくれるから。私もこうやって喋りたいものだと思いつつ、日々黒子のように副音声のみで参加している。

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