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Black Country, New Road - For the first time

Ninja Tune(2021)

イギリスはサウスロンドンを拠点に活動する7人組バンドによるデビューアルバム。これまでイギリスで行ったライヴは全てソールドアウト、Sonic Youthのキム・ゴードンや私が大好きなRadioheadのエド・オブライエンが「既に自分たちの音楽を確立している」と賛辞を贈るほどの大型新人だ。最近だとBlack midiDry CleaningSquidなどイギリスの新人バンド(特にポスト・パンク)が注目されている中の一角で名前が挙げられ、メンバーはヴォーカル、ギター、ベース、ドラム、キーボードという基本的な編成に加えてヴァイオリン、サックスという大人数のバンドなのだが、やっていることはポスト・パンクを軸にジャズにも聴こえるし民族音楽や現代音楽としての要素も含まれており、一言でまとめてしまうのはすごく難しい。かといって方向性が決まっていなくてとっ散らかっているということはなく綺麗にひとつのアルバムとしてまとめあげられている。

彼らは元々ポスト・ロックやマス・ロックに分類されるような音楽からスタートし、エレクトロ、ジャズ、クラシックに精通しているメンバーもいることから音楽性が多彩なのは納得だ。相当色々な音楽を聴いているのだろう。アルバムの収録曲が全6曲という少なさも無駄をとことん削ぎ落としていった結果選ばれた6曲のようだ。

ライヴのOP感を閉じ込めたかのような冒頭の#1 Instrumentalから、後期のJohn ColtraneAlbert Aylerのようなフリージャズからの影響が垣間見られる#3 Science FairGodspeed You! Black Emperorのような壮大な展開かと思えば後半からゴリゴリのポスト・パンクを聴かせてくれる#4 Sunglasses、そしてこのアルバムのハイライトで個人的に特にオススメしたいのが#5 Track Xという曲ですごく素晴らしいので是非聴いてみてほしい。

このPhilip GlassSteve Richをポップに解釈したかのような楽曲が最高に気持ち良く、どこかノスタルジー感も相まっていて何度もリピートして聴きたくなってしまう中毒性がある。

もはやもうジャンルという括りで聴いてしまうのは勿体ないくらいに1stアルバムにして練り上げられたこの作品が今後どういった風に批評され、彼らが次にどういったアプローチをしてくるのか楽しみだ。

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