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バレンタインのトラウマ。

中2のバレンタイン。
私はチョコレートを47個もらった。
アイドルの学生時代の武勇伝みたいな話で全男子から羨望の眼差しで見られそうだが、残念ながら中2女子だった当時の私にとっては超トラウマで最近ようやく笑い話にできるようになったエピソードだ。

私はとにかく目立つのが嫌いな子供だった。
写真に写るのも嫌いだし、誰かの前で何かをするのも苦手。学校内でもなるべく目立たず過ごすよう心がけていた。休み時間は図書館に行き、図書館が好きそうなメンバーと地味に過ごしたり、美術部の部室に入り浸って漫画を読んだり、放送室に篭って音楽やお笑いの話をしていた。
本来であれば陰キャ街道まっしぐらで平穏無事に過ごせるはずだったのに一個だけ誤算があった。
それは運動部の部長になってしまったことだ。

その日何があったかは正直もうよく覚えていない。
ただ、数人の後輩の入り待ちから始まり、下駄箱の中に置かれた数個のチョコ、机の上にもチョコ、後輩がクラスに持ってくるチョコ。チョコ。チョコ。

この辺りで既に管理が出来なくなり、手提げ袋もスクールバッグもパンパンになり、机にも収まらず、ロッカーに放り込み始めた。
それでも集まるチョコ。教室にいるのが嫌で昼休みは図書室に逃げ込み、掃除の時間になって戻ってくると机の上にはチョコ。チョコ。チョコ。
ここまでくるともはや盛大にいじられている。
手作りチョコを一通り配ったけど、余っちゃったので、とりあえずアイツのところに置いとこうのチョコ。
よくわかんないけどすげぇチョコもらってる2年生がいるから、見物に来た記念にお供えしとこうのチョコ。
誰からもらったのかすらわからない無記名のチョコ。
チョコがチョコを呼び、更に集まるチョコ。
なんとか授業が終わって部活の時間。トドメのチョコ。

体育館の鍵を職員室に返しに行った時、ボロボロチョコを溢しながら歩く私を先生が呼び止め、学校から親に連絡がいき車で迎えにきてもらうことになった。
先生から連絡を受けて学校に呼ばれた親はテンパっており、親を呼び出された私もテンパってしまい、ものすごいピリピリした空気の中帰宅するハメになった。
なんだかよくわからないがめちゃくちゃに叱られてしまった私は、半泣きでチョコの開封作業をした。同封されていた手紙を別にしてしまったせいで、ただでさえ無記名のチョコがあったのに、より一層、誰から何を貰ったのかわからない状態にしてしまい、更に怒られた。

ホワイトデーのお返しの方法は自分で考えなさい!と言い放たれたのだが、小遣いもさほどない私が人数分の何かを用意できるわけもなく、かといって技術家庭の成績2の私が約50人分の何かを作れるはずもなく、苦肉の策として業務用スーパーで特用のあわだまを購入し、「自称私にバレンタインをあげた人」に配って回った。

↑これね。

今となってはめちゃくちゃ面白いんだけど、当時は恥ずかしいやら、悲しいやら、申し訳ないやらで封印したエピソードでした。
当時満足にお礼も言えなかった皆様、大変申し訳ありませんでした。

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