見出し画像

⑨臨床検査技師がFP3級に合格するまでの話(第9話)

前回に引き続き「相続・事業継承」分野のうち,「相続税」「財産の評価」について勉強しながらまとめていきたいと思います。
昨日夜勤明けからの眠気がすごいですが,よろしくお願いいたします.

相続税

課税価格の計算

課税価格=相続財産-非課税財産-債務控除

【相続財産の種類】

◎本来の相続財産:預貯金,株式,債券,現金,不動産など
◎みなし相続財産:生命保険金*や死亡退職金*など,被相続人の死亡により相続人が取得する財産
*生命保険金:被相続人が契約者(保険料負担者)で,被相続人の死亡により相続人に支払われる生命保険金.
*死亡退職金:被相続人の死亡により支払われる退職金で,被相続人の死後3年以内に支給が確定したもの

◎生前贈与加算
 相続人が相続開始前3年以内に贈与を受けた財産に相続税が課される.(贈与時の価格)

◎相続時精算課税による贈与財産
 相続時精算課税の適用を受けていた贈与財産に課される.
(贈与時の価格)
☞第7話でまとめています

【非課税財産】

◎墓地・仏具

◎弔慰金*・葬祭料
*勤務先などからの弔慰金の非課税範囲を超える部分には退職手当金として相続税が課税.
*弔慰金の非課税範囲
 業務上事由の死亡:死亡時給与額×36カ月分
 業務外事由の死亡:死亡時給与額×6カ月分

◎生命保険金・死亡退職金の非課税限度額
非課税限度額=500万円×法定相続人の数
各人の非課税限度額=非課税限度額×その相続人が受け取った保険金/全相続人が受け取った保険金合計額
※相続を放棄した人が取得した生命保険金・死亡退職金には非課税限度額の適用はなし.
◎法定相続人の計算における注意点
・相続放棄者も法定相続人の数に含める
・被相続人に実子がいる場合,養子は1人まで含める
・被相続人に実子がいない場合,養子は2人まで含める
・特別養子縁組による養子=実子とみなす

【債務控除】
被相続人が残した債務,被相続人の葬儀にかかった費用は相続財産から控除することができる.
◎控除できるもの
・債務(借入金,未払いの税金,未払いの医療費)
・通夜,葬儀,火葬,納骨の費用
◎控除できないもの
・被相続人が生前に購入した墓地,墓石の未払い金
・香典返戻費用(香典返し)

相続税の計算

①課税価格の計算(前述の通り)

②課税遺産総額の算出
課税価格合計から遺産に係る基礎控除額*を差し引いた額
*基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

③相続税総額の計算
・課税遺産総額を各相続人の法定相続分で分割し「法定相続分に応ずる取得金額」を算出
・取得金額に応じた税率を掛け,控除額を差し引いて各人の相続税額を求める
・各人の相続税額を合計して,相続税の総額を算出する

④相続税額の按分
各人の相続税額を合計した相続税総額を,各人が実際に取得した課税価格の割合で按分し,各人の税額を求める.
※相続税額の2割加算
 配偶者や1親等の血族以外の人(被相続人の兄弟姉妹・祖父母,甥・姪など)が遺贈による財産を取得した場合に,税額に2割相当額が加算される.ただし,子を代襲して孫が相続人となった場合は対象外.

相続税の税額控除

◎配偶者に対する相続税額の軽減
配偶者が相続した財産1億6,000万円以下,または法定相続分までは相続税が控除される制度.
※配偶者の納税額が0円になっても,相続税の申告書の提出が必要.

◎その他の税額控除
・贈与税額控除:相続開始前3年以内に被相続人から贈与された場合,贈与時に支払った贈与税額分が控除
・未成年者控除:法定相続人である未成年者(18歳未満)が相続した場合,(18歳-相続開始時の年齢)×10万円が控除
・障害者控除:法定相続人である障害者が相続した場合,(85歳-相続開始時の年齢)×10万円,法定相続人である特別障害者が相続した場合,(85歳-相続開始時の年齢)×20万円が控除
・相次相続控除:10年以内に相続を2回以上受けた場合,1回目の相続税額の一定額を2回目に控除

相続税の申告・納付

◎相続税の申告
・相続税課税価格の合計額が基礎控除以下の場合は申告不要
配偶者に対する相続税額の軽減を受ける場合,納付額が0円でも申告必要
・相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内に提出
・死亡した被相続人の納税地(住所地)の所轄税務署長に提出
・死亡した被相続人の確定申告(準確定申告)は,相続開始を知った日の翌日から4カ月以内に行う

◎相続税延納(分割納付)の要件
・金銭一括納付が困難
相続税額が10万円を超える
・申告期限までに延納申請書を提出
※延納でも金銭納付が困難な場合,物納申請書の提出により物納も可能.
(抵当権目的となっている不動産は不可)

財産の評価

宅地(土地)の評価

◎路線価方式:市街地の宅地評価
路線(道路)に面する標準的な宅地1㎡あたり千円単位の価格
評価額=路線価×土地の面積
◎倍率方式:郊外・農村部などの宅地評価
固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて算出

宅地の分類・評価額

◎自用地:土地所有者が自分で使用している土地
自用地評価額=路線価×奥行補正価格率×地積

◎借地権:人から貸借している土地の借地権
借地権評価額=自用地評価額×借地権割合

◎貸宅地:借地権の目的となっている土地
貸宅地評価額=自用地評価額×(1-借地権割合)

◎貸家建付地:自己所有の貸家を建てた自己所有の土地
貸家建付地評価額=自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
※借家権割合:全国一律30%
※賃貸割合:貸している床面積割合

【小規模宅地等の評価減の特例】
特定居住用宅地等:被相続人等の居住用宅地を
 ①配偶者が相続したもの(被相続人との同居・居住継続・保有の要件なし.第三者への賃貸も可)
 ②同居親族が相続したもの
 ③被相続人に配偶者,同居親族がなく,別居親族が相続したもの
 対象となる限度面積:330㎡ 減額割合:80%
※特定事業用宅地等との併用:330㎡+400㎡=730㎡
※貸付事業用宅地等との併用:適用対象面積の調整計算が必要
特定事業用宅地等
 被相続人等の事業用宅地を一定の親族が承継・相続したもの
 対象となる限度面積:400㎡ 減額割合:80%
貸付事業用宅地等
 被相続人等の貸付事業に使用されていた土地(または借地権)を一定の親族が相続したもの
 対象となる限度面積:200㎡ 減額割合:50%
◎特例による減額される金額
宅地等の評価額×(限度面積/その宅地の面積)×減額割合

建物の評価

◎自用家屋評価額=固定資産税評価額
◎貸家評価額=自用家屋評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)

株式の評価

上場株式:以下の最も低い価格で評価
・相続開始日の最終価格
・相続開始日の月の毎日の最終価格の月平均額
・相続開始日の前月の毎日の最終価格の月平均額
・相続開始日の前々月の毎日の最終価格の月平均額

非上場株式
原則的評価方式(同族株主が持つ株式の評価方式)
類似業種比準方式:上場類似企業の配当・利益・総資産の3要素を勘案
純資産価額方式:1株あたりの価格(純資産/発行済株式数)
特例的評価方式(同族株主以外が持つ株式の評価方式)
配当還元方式:過去2年間の配当金の平均から株価を算定

その他の相続財産の評価

◎ゴルフ会員権:相続発生日の通常取引価格の70%
◎生命保険契約に関する権利:解約返戻金の額に基づいて評価
◎定期預金:預入額に利息分を加え,源泉徴収額を差し引いた額
◎投資信託:相続発生日の基準価額から解約手数料などを差し引いた額


今回はここまでにしたいと思います.

さて,私は2023年5月28日(日)実施の試験を受験する予定ですが,3月17日より受験申請期間が始まりますので,忘れずに申請したいと思います.
受験料は学科と実技をあわせて 8,000円 となります.

受験される皆様も,申請を忘れずにしましょう!

↓3級・2級FP技能検定 試験要綱


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?