見出し画像

⑦臨床検査技師がFP3級に合格するまでの話(第7話)

今回は「相続・事業継承」分野のうち,「贈与税」について勉強しながらまとめていきたいと思います。アラサーの私にはまだ経験のないことで,イメージがなかなか湧かない分野になります…。

贈与税

贈与税とは

個人から財産を贈与された個人(受贈者)に課される税金.
*個人→法人への贈与:法人税
*法人→個人への贈与:所得税

贈与の種類

  • 定期贈与:定期的に給付する贈与

  • 負担付贈与:一定の債務を負わせることによる贈与(ローン返済+自動車)

  • 停止条件付贈与:所定条件の成立により効力が生じる贈与契約(合格したらマンションを贈与)

  • 死因贈与:贈与者の死亡により実現する契約(相続税の課税対象)

口頭での贈与契約:未履行の部分を除き,どちらからでも撤回が可能.
 贈与財産の取得時期=名義変更など贈与の履行があったとき
書面での贈与契約:撤回には相手方の承諾が必要
 贈与財産の取得時期=贈与契約の効力が発生した日

贈与税の課税方法

◎暦年課税:1月1日~12月31日に受けた贈与財産の合計価額に課税
 ・贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日の間に申告と納税.
 ・居住地管轄の税務署長に申告書を提出.
 ・金銭一括納付が原則.所定要件により延納は可能.
 ・税額が10万円超で納付が困難な場合,担保提供により延納可能(5年迄)
 ・基礎控除額:110万円(110万円以下の場合,申告不要)
 ・複数の贈与を受けた場合,その合計額から基礎控除額を控除して算出.

◎課税財産
本来の贈与財産:現金・有価証券・不動産・貴金属など
みなし贈与財産:贈与と同様の性質をもつもの
 ・生命保険金(保険料負担者でない人が受け取った保険金)
 ・低額譲渡:時価に比べ特に低い価額で譲り受けた場合,その差額
 ・債務免除:借金の免除
※相続開始前3年以内の被相続人から受けた贈与は相続税の対象.

◎非課税財産
 ・扶養家族への生活費,教育費
 ・法人→個人への贈与(給与所得や一時所得の対象*)
 *雇用関係あり:給与所得 雇用関係なし:一時所得
 ・一般に認められる額の祝金,香典,贈答など
 ・相続開始年に被相続人か受けた贈与(生前前贈与加算の対象)
 ・離婚に伴う財産分与,奨学金など

贈与税の計算

①課税価格の計算
 本来の贈与財産+みなし贈与財産-非課税財産
②贈与税額の計算
 (課税価格-基礎控除110万円)×税率-控除額

贈与税の特例

贈与税の配偶者控除

配偶者からの贈与は,基礎控除とは別に最高2,000万円までの贈与が非課税となる.

◎贈与税の配偶者控除の要件
・婚姻関係が20年以上
・居住用不動産またはその取得のための金銭贈与で,贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住,その後も居住し続ける見込み
・贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税申告書を提出.(贈与税額が0円でも提出が必要)
・過去に同一の配偶者からの贈与で特例を受けていないこと(一度のみの適用)
基礎控除と併用可(2,000万円+110万円=2,110万円)

相続時精算課税

推定相続人に早めに財産を譲れるよう,贈与時点での贈与税を軽減し,相続が発生した際に贈与分と相続分を合算して,相続税として支払う制度.
最高2,500万円までの贈与額が非課税となる.

◎相続時精算課税の要件
・贈与者:贈与年1月1日時点で満60歳以上(父母・祖父母)
・受贈者:贈与年1月1日時点で満18歳以上の推定相続人(養子・代襲相続人含む),または孫.所得制限なし.
・贈与年の翌年2月1日~3月15日に「相続時精算課税選択届出書」を税務署長へ提出
◎控除額
・合計2,500万円までが非課税
非課税分を超えた贈与額には一律20%が課税され,課税された贈与税分は将来の相続税から控除される
特別控除を選択した場合,基礎控除(110万円)は利用できない
※贈与時点での時価で計算
※贈与財産の種類,回数,金額に制限なし
贈与者ごと,受贈者ごとに相続時精算課税か暦年課税を個別に選択可
※相続時精算課税を選択した場合,暦年課税の基礎控除(110万円)は使用不可
※相続時精算課税を選択した場合,同一の贈与者からの贈与について暦年課税を選択することはできない

住宅取得等資金の贈与税の非課税

直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合に一定額が非課税となる.

◎主な要件
・贈与者:直系尊属(父母,祖父母).年齢制限なし
・受贈者:贈与年1月1日時点で満18歳以上,その年の合計所得2,000万円以下.家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下で,その1/2以上を居住の用に供されること.
◎非課税限度額
・省エネ等住宅用家屋:1,000万円
・その他の住宅用家屋:500万円
※暦年課税の基礎控除110万円または相続時精算課税の特別控除2,500万円のいずれかと併用可
※受贈者1人につき1回のみ適用可能
※本特例で非課税となった金額は,贈与者が贈与後3年以内に死亡した場合でも相続税に加算されない
※贈与年の翌年3月15日までに全額を充てて家屋の新築等を行うこと
※中古住宅の場合,新耐震基準に適合していること

教育資金,結婚・子育て資金の一括贈与

教育資金の一括贈与に係る非課税措置の特例(教育資金贈与の特例)は,直系尊属から教育資金としての金銭の贈与を受けた場合に,一定額が非課税となる制度.

◎教育資金贈与の特例の要件
・贈与者:直系尊属(父母,祖父母)
・受贈者:満30歳未満の直系卑属(子,孫).受贈者が在学中,教育訓練中などの場合40歳まで継続可.
◎非課税限度額
・①②を合計して1,500万円まで
①学校等に支払う教育費用:1,500万円
②学校以外の教育サービス費用:500万円

結婚・子育て資金の一括贈与時の非課税措置の特例は,18歳以上50歳未満の個人が,直系尊属から贈与を受け,所定要件を満たした場合に,受贈者1人につき1,000万円までの部分について非課税となる制度.
※住宅取得等資金の贈与税の非課税,教育資金贈与の特例との併用が可能.


次回,「相続・相続税」へと続く…



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?