抜け殻になったら 待ち合わせしようよ

タイトルでお気づきの方もいらっしゃるだろうか
これは私の好きなバンドのある歌のワンフレーズだ

今日はこの曲について話したい

この曲はとてもポップな曲調で、いわゆるラブソングに分類される…のかもしれない
でも私はこの曲をそんなふうにカテゴリに当てはめてしまうのはなんだかもったいないと思ってしまう

誰かが誰かに向ける愛にはいろんな形があるから


この曲は “このバンドが歌うから”
単純そうで単純じゃない、愛を歌った曲なのだ

一体そのバンドは誰なんだと、そろそろ思っている人もいらっしゃるだろう

バンドの名前は「BUMP OF CHICKEN」


「天体観測」という曲を聞いたことがある人が
多いのではないだろうか

彼らの代表曲である天体観測はもちろん素敵だが
もっともっと知って欲しくて聴いてほしい曲が
山ほどある

そんな中からちょっと彼らにしては異質でポップすぎる
でもやっぱり藤原基央さんが描く歌詞で
この人だから描ける歌詞だと感じる「新世界」という曲を紹介したい
(「新世界」はロッテ70周年記念の「ベイビーアイラビュだぜ」というアニメーションのテーマソングとして描き下ろされたものです)


歌詞の始まりは
「君と会った時 僕の今日までが意味を貰ったよ」

この一言に音が乗った途端、聞いた人は心を掴まれると思う
ぜひ音源を聴いてほしい
※YouTubeの公式の音源ともしよければLive版を(小声)


まさにタイトルの「新世界」の扉が開いたような
そんな音をしている

そこに続く歌詞はこうだ

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頭良くないけれど 天才なのかもしれないよ
世界がなんでこんなにも 美しいのか分かったから

例えば 曲がり角 その先に君がいたら
そう思うだけでもう プレゼント開ける前の気分

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まず、君を見つけたことで天才になってしまえる
僕がかわいくて愛おしい

でも実際そうじゃないだろうか
この人に出会えて、世界が美しいと思える
そんな人を見つけた自分のことを天才だと思ったこと
大好きな人がいるあなたなら一度はあるんじゃないだろうか

そしてその嬉しさを「曲がり角の先に君がいたら」と例えるところが基央さんだ
日常の中に溢れる情景が、なぜかこの人の手にかかると特別な瞬間として切り取られる

沸き立つわくわくした気持ちを「プレゼント開ける前の気分」と表現するところも
想像しなくても、もう自分の心が踊るのがわかる

続くフレーズは
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泣いていても怒っていても 一番近くにいたいよ
なんだよそんな汚れくらい 丸ごと抱きしめるよ

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ここも基央さんを感じる歌詞だ

「笑っているときや楽しいとき」一番近くにいたいよではないのだ

一緒にいてくれるだろうかと不安になる瞬間に
「一番近くにいたいよ」と言ってくれるのが
BUMPの曲だ

そして「なんだよそんな汚れくらい 丸ごと抱きしめるよ」

もうこれが愛じゃなくてなんなんだろうかと初めて聴いたとき思った

誰しも見せたくない姿や話したくないこと、隠したいことがあると思う
でもそれを「なんだそのくらい、全然大丈夫だよ」と抱きしめてもらえたらどんなに嬉しいことだろう
どんなに救われるだろう

軽々しく受け取られたんじゃない
大丈夫だよって全部抱きしめてくれた瞬間に
傷は傷じゃなくなるのかもしれないなと思う

ここからさらにいい歌詞が続いていくから全て紹介したいけど、noteの文字数が気の遠くなるものになりそうなので一部だけ抜粋する

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天気予報どんな時も 僕は晴れ 君が太陽
この体 抜け殻になる日まで 抱きしめるよ

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君がいるから僕は晴れでいられる
いつだって君を尊敬して、尊重してる
“君が大切で仕方なくて大好きな僕” が私には眩しい

そして「抜け殻になる日まで 抱きしめるよ」
最期のその瞬間まで一緒にいること、味方でいることを約束してくれる言葉

これだけでもう充分すぎるほど
愛してるが伝わってくる


でもそれを超えてくるのが藤原基央だ

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ケンカのゴールは仲直り 二人三脚で向かうよ
いつの日か 抜け殻になったら 待ち合わせしようよ

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ケンカのゴールは仲直りだともう決まっていることにほっとする
ゴールには二人で足並みを揃えて向かうこと
喧嘩したって僕は君といたいこと

そして私が最も胸を撃たれた歌詞がここだ

「いつの日か 抜け殻になったら 待ち合わせしようよ」

抜け殻になるまで抱きしめるよと誓った君と僕が
共になのか、どちらかが先になのかは分からない

“抜け殻になったとき”

また待ち合わせして、その先もずっと一緒にいたいと歌うこと 

終わりじゃないこと

消えてしまっても、それは二人の終わりじゃないこと

永遠があると思える
そんなこの歌詞に私は胸を打たれた


私は一緒に生きたいと思える人に出会えることを素敵だなと感じるけれど、それ以上に「最期にこの人といたい」と思える人に出会いたいと思っている

そんなふうに思える人をもし見つけられたなら
本当に私は天才になれるかもしれない



最初に「愛にはいろんな形がある」から、これはラブソングにするにはもったいないと書いたけど、その相手は人、動物、植物、いろんなものになり得ると思う


ちょっとだけおまけの話をしよう

3月1日
BUMP OF CHICKENはライブをしていた

私は翌日の公演に行く予定だったけど
その日もグッズを買うために会場にいた

この日は私が大切で愛していた愛犬のお誕生日でもあった
6歳を迎える前に突然旅立ってしまった命
あまりに突然で、私には受け止められない現実だった

あぁ、どうしてるんだろうと会いたくて空を見上げていたら目の前から同じ犬種のわんこが4匹も歩いてきた
その光景に目を奪われていたら、4匹が駆け寄ってきて私に飛びついてくれた

こんなことあるのかと驚いた
そもそも同じ犬種に4匹同時に出会うなんて稀すぎる

「ひょっとしてこの子たちの体を借りて代わりに会いにきてくれたの?」なんて思ってしまった

その時、私の心に浮かんだのがこの歌詞だった

「抜け殻になったら 待ち合わせしようよ」


元気にしてる?そっちは慣れた?
ねえ、私が抜け殻になったら
また待ち合わせしようね
ねえ、またそのふわふわの体を抱きしめさせて
何度でも呼ぶからまたこっちを向いて走ってきてね


「抜け殻になったら 待ち合わせしようよ」

また愛する存在に会うための約束の言葉

きっと会えると思える言葉

この歌詞を描いてくれた藤原基央さんに
ありがとうと伝えたい夜だった


また待ち合わせしたいと思える存在に
人生の中でどれだけ出会えるだろう

私もそんな風に思ってもらえる相手になれるだろうか、なりたいな

そんな人と出会えたら約束しよう

「抜け殻になったら 待ち合わせしようよ」

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