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夢を叶えたミラ

作家デビューおめでとう

去年の3月、前職の同僚リュドミラが絵本を出版した。Amazonで買える。

前職での私たちの仕事はIT企業での人材育成。社内研修を企画運営するため、外部の研修会社とやり取りしたり対象者の出欠を受講管理システムに登録したりといったことを日常的にしていた事務方だった。
「こんな才能があったんだ」
共有された商品ページを見て感嘆した。

7〜8時間の時差があり、彼女の朝がこちらの夕方。仕事の引き継ぎをWeb会議とSlackですることが主で、人となりを知るきっかけはどうしても少なかった。退職後もSNSでつながっていることで新たな側面を知るようになり、絵本を作るのが長年の夢だったというのもその流れだ。1年弱でも一緒に仕事をしていて、日本法人の社員よりも心を通わせていた若く優秀な元同僚。応援するしかない。

電子版にも対応しているのかと思いきや、ペーパーバック一択とある。これ、日本にいる私でも買えるのだろうか。

買えた。

著者からアップロードされたデジタルデータを元にオンデマンドで印刷・製本するので、海外から完成品を取り寄せるのに比べて早く手元に届く。この絵本が我が家に置き配されたのは、注文してわずか2日後だった。

自分の本に外国語が記載されるの、不思議な気分だろうな。

本という実体を手にしたことで、画面越しにしか会ったことがない彼女をより身近に感じたので不思議だ。彼女もきっと、近隣諸国のどこかで印刷・製本された自分の著書を震える手でめくり、「夢が叶った」と胸を熱くしたことだろう。これの何倍もの時間をかけてやり取りをして彼女の書いた文章を見てきたのに、こんなに心を動かされたのは初めてだ。

物語というよりは詩で構成されていて、テンポ良く読める。もっと一緒に仕事してみたかったという思いと、仕事を離れたからこそ才能が開花したところを見られたのだという思いとが交錯した。

Dream Big

「Dream Big」と絵本の先付けの文章にあって、本の内容に入る前から感動してしまった。書いていて自分が社畜みたいだが、私たちがいた会社のコアバリューの1つで、四半期に一度開催していた自社研修のタイトルでもある。今も開催しているかは知らない。少なくともAPAC受けは散々だった。

将来の夢を同僚に宣言し、逆算して日々どのような努力を重ねていくかという、拡大版目標設定のようなものだ。たとえば「フルマラソンを走りたい」「そのために減量する」「日々ぼーっと動画配信を見ていた時間をランニングに充てる」というような個人的な内容でもよい。業務時間内で開催するが、ここで言ったことを人事や上司に知らせることはない。安心して大胆に発言できる。

自己啓発本とかにありそうな内容だが、敢えて2日間の集合研修としたのは、同僚の人となりを知ってポジティブフィードバックをし合ったり、自分の過去・現在・未来を可視化したりと、翌日からの活力を養うのが目的だった。本来は対面で行うはずが、コロナ禍や軍事侵攻が暗い影を落とす中ではZoomで開催していた。

ミラはこの研修で絵本作家になりたいと発言したというから、退社後に成就して、謝辞のように添えたのかもしれないなと思った。

ちなみに、私もこの研修に参加したが、「夢」なのに仕事から離れることができず、「優れたリーダーになってチームを統率できるようになりたい」と述べた。今それは叶い始めているので、そろそろ別の大きな夢を思い描くときが来たのかもしれない。

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