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【体験談】50歳からの新規就農~初期投資を抑えたい

おはようございます。

私は、昨春に脱サラし、今年4月に51歳で認定新規就農者となりました。
国の制度を鑑みると、50歳以上で新規就農を目指すのは、あまり賢い選択ではありません。
そんな賢くない選択をした私の就農までの道のりを書いています。

前回は、私が日本政策金融公庫の青年等就農資金を獲得するまでのプロセス(前半戦)を書きました。
今回は、私が考える初期投資を抑える方法について書いていきます。

まず売上目標を決めましょう

これまで培ってきた知識や経験から、健全な経営は初期投資を抑えることから始まるものと私は理解しています。
一方、初期投資を抑えすぎたあまりに収入が足りない、そんな状況に陥っては意味がありません。
なので、まず、生活するために必要な最低売上目標を決めましょう。

で、どうやって最低売上目標を決めるのでしょうか?
そうです、あの損益分岐点分析をするのです。
農業大学校で学んだ人なら一度は聞いたことがあるはずです。
私は、埼玉県農業大学校の農業経営論という講義で学びました。

では、私が実際にどのように計算したのかを紹介します。
まず、”固定費=家計費+減価償却費”として、それぞれ以下の通りに仮定しました;
・家計費:年間4百万円(家計簿アプリなどで毎月の支出を確認)
・減価償却費:年間500万円(=青年等就農資金3500万円(想定)÷ハウスの法定償却年数:7年間)
一方、”変動費=変動比率x売上高”として、ネット情報から変動比率を46%と仮定しました。

この損益分岐点分析の結果、私は最低売上目標を2000万円と設定しました。

【参考】私の損益分岐点分析

次に規模と仕様を決めましょう

最低売上目標が決まったら、売上目標達成に必要な生産規模を決めます。
そのためには、収量と単価の情報が必要となります。
日頃からアンテナを張り、情報を入手するよう心掛けましょう。
研修先で教わった情報をもとに、私は、収量:900g/株、単価:2,000円/kg、と仮定し、売上目標達成に11,000株以上の定植が必要と決めました。

次に、生産設備の仕様を決めますが、これが初期投資を抑える最重要ポイントとなります。
では、生産設備の仕様がなぜ最重要ポイントなのでしょうか?
まず、当たり前のことですが、仕様によって価格が異なるからです。
そして、自らが仕様を決めるために色々と調査して知識を得ることでカモらられることが減るはずだからです。所謂、「情報の非対称性」対策ですね。

とは言っても、初心者が設備仕様を決めるのはかなり難しいです。
なので、本、専門家、先輩農家、などに頼りましょう。
例えば、私は、

  • ハウス構造は、まず本(『園芸用施設設計施工標準仕様書』)を読んで設計荷重を設定し、その設計荷重を元に専門家(渡辺パイプさん)に構造計算を依頼・相談して、アーチパイプの径とピッチを決めました

  • 暖房機とCO2発生装置は、専門家(ネポンさん)に計算と最適な機種選定を依頼しました

  • 高設栽培設備は、複数の先輩農家を訪問し、給液システムや架台構造をマネました

特に、先輩農家から自動化不要なものや自主施工可能なものについての情報入手することをおススメします。私が得た情報をもとに言うと、

  • 換気は全て手動でも美味しいイチゴは作れます

  • ハウス建設は単棟であれば自主施工可能です

  • 高設架台設置は自主施工可能です

図面と仕様書を作成して相見積を取りましょう

自らの考える生産規模と生産設備仕様を図面と仕様書にまとめます。
参考までに、私が作成した見積仕様書はこちら👇です。

そして、図面と仕様書を複数のハウス施工会社に渡し相見積を取ります。
で、ハウス施工会社はどうやって探すのか?
方法は色々とありますが、とりあえず以下の方法を全てやりましょう;
①研修農家や先輩農家に聞く、②インターネットで探す、③展示会で探す

あと、私は建設業界に「バリューセット」は存在しないと考えます。
「セット」や「(一式)システム」はコスト高だと私は信じているので、
相見積の最初の段階では「バラ買い」をおススメします。
先輩農家等から得た情報をもとに、自主施工できるものや自ら調達できるものは除き、出来るだけハウス施工会社が得意なものだけに絞って見積りをお願いしましょう。

参考までに、私が徴収した相見積の結果がこちら👇

【参考】ハウス及び付帯設備の相見積結果

C社及びD社が非常に高額になっていますが、これは彼らの仕様が他社よりも高スペックになっていたためです。「図面と仕様書を複数のハウス施工会社に渡し相見積を」などと偉そうに言いましたが、当初、私は彼らから見積を徴収する際に仕様書を作成していなかったのです。
その後、私は見積仕様書を作成し、A社とB社にはそれに沿って見積書を作成してもらいましたが、C社とD社は再見積もりには応じて頂けませんでした。
大いに後悔し、反省しています。
皆さんは私のような失敗を犯さず、見積もりを依頼する前に図面及び仕様書を作成してください。

なぜ安いのかを考えよう

最安値の会社との契約を最終決定する前に、「なぜ彼らが他社よりそんなに安いのか?」を考えることをおススメします。
私は、上記のA社との契約を最終決定する前に、A社を訪問しました。
そして、A社が、自社に倉庫及び加工場があること、ハウス資材を定尺で大量購入していること、それらを自社で加工していること、施工は地元の協力会社に委託し職人を自社で抱えていないこと、などを知り、納得しました。

ということで、私が考える初期投資を抑えるポイントは、①仕様②相見積③バラ買い、です。
ただ、③のバラ買いは大変です。
私は、自主施工では定植が間に合わなくなるという「時間的制約」を言い訳にバラ買いを諦めました😢
因みに、最終的な私の初期投資予算は、本圃ハウスx1600m2(高設架台12000mを含む)及び育苗ハウスx220m2に対し約3500万円です。
来週着工する予定なので、何とか予算内に収めるよう頑張ります💪

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