マリッジストーリーを見た

(ネタバレあるのでご注意下さい)


気になっていたけどダメージを喰らいそうで敬遠していた映画、マリッジストーリーをようやく見た。

離婚劇という前情報を聞いてブルーバレンタインが頭に浮かび、そのくらいのダメージを受けることを想定していたのだが、見終わった感想は「あれ?以外とつらくない・・・?」だった。覚悟しすぎていたのかもしれない。

ブルーバレンタインは恋愛の始まりからしっかり描いていて、かつ現在の生活と幸せな生活、2つの映像が交互切り替わる構成だったので落差が苦しかった。それと比べるとマリッジストーリーにおける「2人の幸せだった時間」はほぼ語りなので、映像で見せられない分ギャップは少ない。
そしてマリッジストーリーはラストシーンで2人の関係がその後穏やかなものであることがわかり、よかったな、という気分で終われた。

それにしても役者のすばらしさよ。スカーレット・ヨハンソンは言わずもがな、アダム・ドライバーは初めてちゃんと観たけど、気持ちの揺れ動き、戸惑い、感情の発露、すべて良かった。
2人とも歌うシーンがあるのだが、ニコール(スカーレット)が歌うのは明るくキャッチーな歌、チャーリー(アダム)が歌うのは暗く孤独を感じる歌、という対比がとても効いていた。

ニコールは別居後の方がやりたい仕事に邁進できて、息子との関係も良好、とても生き生きとしている。
対してチャーリーは妻を失い、せめて息子は、と奮闘するが、妻の地元に馴染んでいく息子とは次第に距離ができていく。
一見するとチャーリーかわいそう、という感じに見えるが、この裏側には結婚期間にニコールが感じてきた苦しさがある。
自分に居場所がない、主張を無視される悔しさ、それをニコールは抱えてきた。

出産して数年、子供たちには手がかかり、激務の夫には頼れない、という状況の中で、
「あれ、もしかしてこのまま誰かのサポートで一生を終えるのか…?」
と感じたことを思い出した。
自分の人生の主導権、決定権が自分に無い、という状況は本当に苦しい。

離婚しても人生は続くし、子供は大きくなる。
マリッジストーリーの2人は、尊敬や愛情を、恋愛とは違う形で維持していけるように思える。
離婚は悪いことばかりでも無い。

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