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【メモ】中城ふみ子の歌集

中城ふみ子の『乳房喪失』と『花の原型』が収録されている歌集を3冊読んで、それぞれ歌の構成や歌以外に収録されているものが違うので目次レベルで簡単にまとめたメモ。


『現代歌人文庫④ 中城ふみ子歌集 』国文社 (1981)

『乳房喪失』
『花の原型』
略年譜
【歌人論】
中城ふみ子について 中井英夫
憎しみの花・中城ふみ子 菱川善夫
永遠なる官能 ——中城ふみ子論 清水昶
【解説】
銀器鏘然 ——中城ふみ子論 松田修

--メモ--
・『乳房喪失』の川端康成の序文、中城ふみ子のあとがき、『花の原型』の中城ふみ子のあとがき(不幸の確信)あり。


『平凡社ライブラリー 515 新編 中城ふみ子歌集 』平凡社 (2004)


冬の花火——ある乳癌患者のうた
装飾(※)
深層(※)
(※『乳房喪失』『花の原型』二歌集の歌すべてが収録されているが並び順は「その精神の発展史が辿れるよう編み直した」 もの)

【附】 中城ふみ子・中井英夫往復書簡
【解説】 おのれが花である外はなし——華麗なる決断 菱川善夫
原歌集目次
索引

--メモ--
・「冬の花火——ある乳癌患者のうた」は短歌研究の応募作50首すべて。「乳房喪失」として発表時に落とされた歌はそうとわかるように印がついている。
・歌は歌集単位じゃない。二歌集を小見出し単位で分解して『乳房喪失』のテーマの並びを軸に再編成したイメージ。各歌集の序文・あとがきはない。どの歌(小見出し)がどの歌集に入っていたかは「原歌集目次」と照らし合わせないとわからない。
・「中城ふみ子・中井英夫往復書簡」は『中井英夫全集10 黒衣の短歌史』東京創元社(2002)から転載。


『美しき独断 中城ふみ子全歌集』北海道新聞社(2004)


(中城ふみ子の写真何枚か)
『乳房喪失』
『花の原型』
新資料(一)・諸雑誌に既発表の作品 佐々木啓子編
新資料(二)・『花の原型』拾遺 篠弘選
 解説 篠弘
共鳴への道程 道浦母都子
短歌史上の中城ふみ子——現代短歌の原像 篠弘
略年譜 佐々木啓子編
索引

--メモ--
・歌はすべて旧漢字。ふりがなが他の歌集より丁寧でわかりにくい単語の簡単な解説もある。
・『乳房喪失』の川端康成の序文、中城ふみ子のあとがき、『花の原型』の中城ふみ子のあとがき(不幸の確信)あり。
・「新資料(一)・諸雑誌に既発表の作品」は出典も併記。
・「新資料(二)・『花の原型』拾遺」は、『花の原型』を編する際に中井英夫が当たったと思われる一次資料を篠弘さんが読み、『花の原型』に収録されなかった歌をまとめたもの。
・本そのものについて、ハードカバー、A5サイズでかなり重さもある。


わたしは国文社のものを買って、それ以外は図書館で借りた。
平凡社のもので、短歌研究応募作と往復書簡を読めてうれしかった。歌集『乳房喪失』は短歌研究の応募と同時期に中城自身が原稿をまとめたもの(たぶん)のようだから、短歌研究に発表された作品が歌集のなかでそのまま読めるわけじゃないので。むしろかぶってる歌は既発表を応募作に使ってるってことだよね?そのこと往復書簡で中井がかなり厳しく注意してた。往復書簡を読んでて驚いたのは、中井がかなり中城の歌にダメ出ししてるところ。編集者ってみんなこんな感じで歌にダメ出しするんですかね?わたしはその辺よくわかってないので、中城の方もだめな歌はそっちで直してというようなことも言っててそういう編集者と歌人のやり取りを見れたのは新鮮だった。(もちろん往復書簡の読みどころは別のところにもあるんだけどその辺のことはここでは省略。)
北海道新聞社のものは、二歌集には載らなかった中城の歌を何百首も新たに読むことができる。学生時代のものから、闘病中のものまで。これだけのものを新たに様々な資料にあたってまとめたのは本当にすごい。
平凡社の歌集も北海道新聞社の歌集も2004年発行で、2004年が中城が亡くなって50年の節目の年だったんですね。

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