まひる野2023.5月号掲載作品


あさあさに老人が雪かきをする理髪店まえの濃いアスファルト

ベランダに二畳の雪原きらきらとこれっぽっちならメルヘンの国

ただ雪に覆われる街 眠るよりたのしいことだふたり暮らしは

生きるものも死ぬものもない雪の上に掌乗せて手を置いてくる

指紋すらむしばむ手荒れ、わたしの手。きのうの水を喉に流した

足の爪ちぐはぐに伸びていくように正体なんてどこにもなかった

パチンコ屋から手をつなぎ出てきたる男女のダウンコートの丸さ

友だちが厳ついリングとかつけて前髪はずっと同じ長さで


間違えて消してしまったので再掲

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