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2022年採用歌
採用歌
影だけが届くゆうやみ街路樹も揺れれば人に化けられそうな
2022/12/18 東京歌壇 東直子 選
一線の背骨とつとつ撫でながら魚になりたい夜を過ごした
2022/12/10 文芸選評 「線」 東直子 選
久しぶりって手を振るあとの沈黙に身を任せたら溶けだす二年
2022/11/27 東京歌壇 佐佐木幸綱 選
文字化けのような世界で風ならば終電にまで届いただろう
2022/11/21 毎日歌壇 加藤治郎 選
閉店の迫る喫茶店訪ねればさみしい喧騒に満ちている
2022/11/15 毎日歌壇 加藤治郎 選
靴下が落ちていてまた落ちていて二人暮らしのそういう孤独
2022/11/07 毎日歌壇 加藤治郎 選
反射して壁に光が弾むのを猫が見ていてそれを見ていた
2022/10/29 ほむほむのふむふむスペシャル
「動物」 穂村弘 選
寝不足のクマは無重力状態でぬるま湯で口ゆすぐ 海まで
2022/10/16 東京歌壇 東直子 選
愛情にもいろんなかたちがあり今夜あなたにあげたのは円錐形
2022/10/10 毎日歌壇 加藤治郎 選
話が合う人と話すと腹が減る クッキーかじり日付が変わる
2022/10/02 東京歌壇 佐佐木幸綱 選 特選一席
遠雷と思ったほどの風が吹く 謝る前のなんてさみしさ
2022/10/01 NHK文芸選評 「謝る」 永井祐 選
自転車で十年ぶりの風になりいちばん遠い図書館へ行く
Meets Regional 2022.11
レッツ短歌! 「うれしい」 岡野大嗣 選
長ネギをバゲットを明日の怖さをはみ出しながら帰るヤドカリ
2022/09/25 東京歌壇 東直子 選
ひまわりを見ない夏にも満開の友だちの金髪がまぶしい
シティ短歌大賞 「夏」 東直子 選 優秀賞
マグカップから夕焼けが溢(あふ)れ出し夏の夜はもう短くなった
NHK短歌 2022.10 「焼」 佐佐木定綱 選
箇条書きで日記をつける沈みゆく石ゆっくりと溶かすみずうみ
2022/09/18 東京歌壇 東直子 選
薄闇で文庫本の背を撫でながら椅子に押し付けられたら離陸
2022/09/05 毎日歌壇 加藤治郎 選
雨上がり植物園はぬかるんでカラスの鳴き声ばかり赤くて
2022/09/03 日経歌壇 穂村弘 選
雪どけがはじまる道に消えかかる人の足跡たどって歩く
ねむらない樹 vol.9 「許す」 永井祐 選 佳作
連絡を絶って九年の人の名を忘れ呪いはほどけてしまう
ねむらない樹 vol.9 「許す」 野口あや子 選 佳作
傘を持ち出かけた人の夕方に正しく雨が降りますように
粘菌歌会 第52回 「選ぶ」 ひつじのあゆみ 選
小石だけ残した朝のみずうみを遠くに渡る橋、老いていく
2022/08/28 東京歌壇 東直子 選
カマキリは蝶のまんなかだけを食べ羽は落ちゆく様まで綺麗
NHK短歌 2022.09「虫」 佐佐木定綱 選 佳作
変わらない時刻を走る電車もう吐けない噴水を置いて行く
2022/08/10 歌会たかまがはら
「地元」 戸似田一郎 選
旧姓で呼ばれる母を見つめるとわたしが少し透明になる
『一緒に生きる』刊行記念インスタライブ
「親子の風景」 東直子 選
半袖の肘がかすかに照れている短い夏の日差しをあびて
2022/07/31 東京歌壇 東直子 選
下着まで濡らした雨がだくだくと多摩川になる音が聞こえる
粘菌歌会 第51回 「増える」 ひつじのあゆみ 選
わずかでも落ちれば滝になれるってきみのはだしの繊細な味
2022/07/26 毎日歌壇 加藤治郎 選
降ってくるくじらの死骸いきものは腐敗の肉を味わい暮らす
2022/07/24 東京歌壇 東直子 選 特選二席
本屋さんシャッターになり二十年のちもシャッターとして生きてる
2022/07/18 毎日歌壇 加藤治郎 選
味噌汁の重みで土に結ばれる失くした風はひかって遠く
2022/07/17 東京歌壇 東直子 選
光 四時 夏の青さに呼ばれても目の奥はまださざ波の中
2022/07/10 東京歌壇 東直子 選 特選二席
ろうそくのない誕生日 コンビニで正しい傘がわからなくなる
Meets Regional 2022.8
レッツ短歌! 「傘」 岡野大嗣 選
ふるさとのゆるキャラとして蘇る教科書にない武人の名前
2022/06/18 NHK文芸選評 「歴史上の人物」 石井アナ 選
薫風に吹かれソファで寝るきみの耳にかかったメガネを外す
2022/06/04 NHK文芸選評「耳」 広坂早苗 選
賞
第5回笹井宏之賞 大森静佳賞
「風は吹く、無数の朝」
(『ねむらない樹vol.10』掲載予定)
シティ短歌大賞 優秀賞
ひまわりを見ない夏にも満開の友だちの金髪がまぶしい
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