CODA あいのうた レビュー

これは最高に素晴らしい映画だ。絶対に見た方がいい。

主人公ルビーは家族で1人耳が聞こえる。漁師の家に生まれた彼女は、歌が大好きだが、家族はそれを知らなかった。ルビーはいつも通訳係となり、漁師の経営を支えていたが、歌手としての才能を発揮したルビーは音楽大学へ行きたいと願う。しかし、漁師の経営が困難に陥り、音楽大学への進学を閉ざされるが、ルビーの歌を初めてきいた家族は、彼女を突然オーディションへ連れ出す。ラストシーンで、家を立つ時、ルビーの I love youのサインが映画の余韻を残す。

とにかく最後の歌のシーンがとても感動的だ。途中で音が全て消え、ルビーの家族の感性に入り込む。周りの観客の表情を見て、娘の歌が上手いことを確信する。夜、父親はトラックの荷台に座って、あの時歌った歌を俺のために歌ってくれないか、と頼む。ルビーの喉を優しくさわり、振動を確かめる。また、ただよくある感動ストーリーではなく、登場人物のそれぞれの意識の流れをうまく映している。例えば、合唱シーンでは両親は夕食何食べる?という会話を客席でしているのだ。会場でこのような会話はできないが、手話だからできるのだ。

歌は好きだけど、人前で歌うのは緊張する、何かをするときはとても躊躇ってしまうという性格が、あの崖から飛び降りた時、あの瞬間、変わっていった。ほんの少しの何かの瞬間で、人生が変わることがある。自分らしくいてと言われても、自分らしくいなきゃいけないわけじゃない。何か突発的なことをして、それがきっかけで、自分は変わっていくのだ。

この映画の中には人生について考えるべき大切な瞬間がたくさん詰まっている。

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