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「高エネ研南側未利用地利活用に関する提言書」書き起こし。

いきなり地雷を踏むわけですが、つくばで5年以上にわたり問題となっている旧総合運動公園用地の高エネ研南側未利用地

つくば市では、方針すらいまだに定められない状況ですが、令和3年6月定例市議会の最後につくば市議会の「高エネ研未利用地に関する調査特別委員会」から提言書がつくば市長に手渡されました。

その全文がつくば市議会のホームページにPDFで公開されたのですが・・・

なんと、掲載された提言書はテキスト選択できない画像としてのPDF。

文章をコピペできないようにしたとしか思えず、議会の情報公開・情報発信としていかがなものか・・・ということで、提言の内容をSNSで多くの人が発信・拡散でき、よい議論が生まれ、議論を踏まえて、つくば市の未来に繋がる方針がつくられることを期待して、本文を全文、ここで書きおこすことにしました。

書きおこしにあたり、文字だけでは情報量に不足があるので、リンクや図表を追記したりコメントで補足しています。オリジナルは文字だけです。資料を含めたオリジナルは、上記リンクからPDFでご覧下さい。末尾にも画像で添付しています。

1 はじめに

高エネ研南側未利用地は、筑波研究学園都市建設時に研究施設等を誘致するため、1970年代にURが買収(※)していた約46haの土地であった。この一団の土地は、現在も未利用地となっている。

※1970年代当時に、筑波研究学園都市建設にあたり買収を担っていたのは日本住宅公団なので、文書としては「日本住宅公団(現:都市再生機構(UR))が買収していた」とした方がよいのではなかったかと。

平成26年3月、市は、市民から公認記録の取れるスポーツ活動拠点の早期整備が望まれていたことから、(仮称)つくば市総合運動公園基本構想を策定し、当該土地をその事業用地としてつくば市土地開発公社の債務保証をする形で取得することとなった。
しかし、平成27年8月に行われた住民投票で8割以上の反対(補注:投票率47.3%)があり、市は総合運動公園基本計画を白紙撤回とし、当該土地は公有未利用地となった。

その後、市では土地の処分なども視野に入れた利活用方策の検討を行った。令和元年8月19日に開催された全員協議会で、市から、土地全体利用を前提とした民間主導の事業提案が1社からあったことが報告された。その内容は、大規模商業施設の誘致、老健施設や緑地施設の敷設、物流・倉庫施設の誘致で土地取得予定金額約40億円とする事業の提示であった。事業提案は1社だけであることや、計画を進めるには十分な市民説明と理解が必要であることから、議会として調査検討すべく、令和元年9月定例会において、議長を除く議員全員27名からなる「高エネ研南側未利用地に関する調査特別委員会」を全会一致で設置した。4回の委員会と3回の勉強会を開催し、改選前の令和2年9月定例会において中間報告を行い、改選後の同年12月同委員会を立ち上げ、様々な議論、検討を進めてきた。

当該土地は、「つくば市未来構想」に掲げる土地利用構想や、「つくば市都市計画マスタープラン」において保有資産の有効活用や土地利用方策が検討されている。

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図 土地利用構想図(出典:つくば市未来構想)

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図 大穂コミュニティプラン(出典:都市計画マスタープラン2015)

以上のような背景・経緯から、当委員会は、高エネ研南側未利用地を市民の利益向上を目的に、土地の利活用について提言するものである。

2 現状と課題

高エネ研南側未利用地は、つくば市大穂地域に位置し、敷地面積約46ha、市街化区域、第二種住居地域に指定され、併せて特別用途地区の文教地区が指定されているが、現況山林である。

当該土地は、つくばエクスプレスつくば駅から約8km、また、常磐道の土浦北ICから約12km、圏央道のつくば中央ICから約11kmの北部地域に位置している。片側2車線の国道408号線(補注:国道の場合、正式には「線」はつきませんので「国道408号」が正しい表記です。)に面しており、幹線道路から直接進入する既存道路をメーンアプローチとして活用可能でアクセス性は高いとの利点が挙げられる。

課題として、面積が広大であり、利活用には、既存樹木の伐採・抜根や上下水道が未整備であることからインフラ引き込みなどの基盤整備に係る費用が必要である。また、都市計画法上の用途制限に適合させるための手続も必要となるなど整備するには数年以上掛かることも予想される。

3 議論の経過について

当委員会では、貴重な資源であるこの未利用地を利活用するにあたり、先行き不透明な社会情勢や少子高齢化の中で、地域に新たな活力を創出し、地域の発展を図っていく必要があるとの考えから、官民連携等による様々な手法により、公共に資する事業として持続性のある利活用を推進し、一括売却ではなく、一部公共もしくは、全部公共活用で検討すべきではないかとの結論に至った。ただし、民間の提案を妨げるようなものになってはいけないとの意見もあり、今後これまでに想定し得なかった状況の変化があった場合は、当委員会へ報告の上、事業の検討を進めるなど議論された。

4 基本的な方向性について

市は、2048年に約29万人のピークを迎える人口ビジョン(補注:つくば市ホームページで「人口ビジョン」で検索すると表示されるページでは、将来人口のピークは2036年に約25万9千人とされている。2048年に約29万人という数字は、つくば市未来構想の中で言及されているもので、検索では表示されてきません。)を示しているが、将来人口は増加地域と減少地域の二極化していくことが予想される。そのような中で高エネ研南側未利用地のまちづくりにおいては、大幅な人口の増大が見込めず、産官学挙げて地域のもつ数多くのポテンシャルを活かした利活用が求められている。

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図 つくば市HPで「人口ビジョン」と検索し、最上位に表示される将来人口

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図 つくば市未来構想(PDF)P54に掲載されている将来展望
(検索で上位には表示されない)

その上で、良好な市街地が周辺に存在し、大穂庁舎などの公共施設や医療機関・研究所、また商業施設が隣接する地域特性に配慮し、周辺環境へ影響を及ぼさないことを利活用の基本とすべきであると考える。

5 望ましい施設等について

社会情勢が大きく変化する中で、地域づくりを進めていくには地域ごとに知恵を出し合い、新たな地域資源を発掘することが必要と考える。その上で、その地域の価値を高め、つくば全域に活力を波及するものを目指すべきであると考える。望ましい施設等については、以下の役割・機能を持った内容等を提案する。

(1)豊かな自然環境、幅広い分野の研究機関や人材の集積などの最先端の取組に代表されるつくばならではの資源・特性を十分いかせるもの

(2)市民ニーズに対応し、地域の活性化に貢献するもの

(3)東日本大震災等の教訓をいかし、市民が安全・安心に暮らせるまちを実現するため、災害に強いまちづくりに寄与するもの

(4)市民のコミュニティ形成に寄与するもの

(5)交通の利便性から産業や観光の振興に寄与するもの

6 今後の取組について

つくば市は他の都市にはない優れた資源、人材、組織等を有する地域であり、その優位性をいかしたまちづくりをすべきである。現在においても未利用地となっていることを踏まえ、早急に整備方針を決定すべきであるが、市の財政上の負担や人口急増地域の学校建設等優先度などを考慮し、整備方針の作成については、具体性・妥当性・有効性なども検討する必要がある。

市は、基本的な方向性に合致し、望ましい施設等を可能な限り実現する利活用方策を検討すること。ただし、過大な公共投資を抑制しつつ、よりよいまちづくりを実現するため、必要なインフラは整備しながら、産官学の連繋のもと、地域資源を活用した商品やサービスの開発、マーケティング・ブランディングなどを手掛ける担い手の育成・発掘などより広く民間の資本を誘導する観点を考慮することを望みたい。

また、事業者を活用する場合には、広く国や県も含めた研究所用地を希望する事業者や民間事業所等を募り、その応募状況や利活用の内容・選定に当たっては、議会及び市民に十分に説明し、理解を図りながら進めるべきと考える。

以上のことを念頭にいれ、今後の取組を推進願いたい。

提言書のオリジナル(資料除く)

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関連HP





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