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【血の粥】永遠の拷問(57)

コバートは血を吸われたのではなかった。その逆でジャの血を吸入された。苦しみが強すぎるがあまり、誰もいなくなった《ことほぎの儀》の舞台で暴れまわる。衝動的に破壊気分が出て祭壇のすべてをぶん投げたり、叩き壊したり、ぶっ倒したりした。気が付いた時には、神に捧げるための血の粥の鍋をひっくり返してしていた。「しまった!」と思う前よりも早く聖食を汚した罰が振りかざされる。彼は呪いそのものとなった。次に聖食を汚す者が現れるまで永久的に生き続ける。しかも血を注入された苦しみを永遠に味わいながら。誰も殺してはくれない。自殺もできない。これまで呪いそのものだった者が、解放されるのが見えた。湯気のように立ち上って天に消えた。

数えられないほどの年月が経ち、最早《ことほぎの儀》を知るものはいない。コバートは詰み。人類が滅亡してもコバートは苦痛に苛まれる。戦争やテロなどの、残虐な殺しの現場を見続けるよりも非情な時間。

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