【400字小説】@塾々
沼の浅瀬で半魚人が待ってて。
わたしは抱き締めたかったけれど、
魚臭くならないか期待して、手が出なかった。
「ぎょぎょぎょ」としか
逝ってなかった半魚人の
言葉がなぜかわかった。
「人生二度きりだよ」と言ってたので、
人間の次は半魚人で
生きることを覚悟できなかった。
講師を辞めることは易々と越えられたのに。
寺があった沼の池で
蓮の上に仁王立ちできない。
仏様なんてきっといる。
イルな人生をたった一度で
良いから叶わせてください。
まだ半世紀も生きてないのに
生きたくはないなんて残酷すぎませんか、半魚人。
塾で歴史を担当。
東大合格者を毎年出さなくては
生けない塾だったので
プレッシャーはなかった。
生きたくなくなったのはそういうわけで。
フォ~エバー永遠に。
こんな戯言を書いていないで息抜かないと。
スーハーって深呼吸。
半魚人はエラ呼吸できないって知ってた?
まぬけだよねえ。
それを半魚人に伝えたら笑って毒ヘドロを投げつけられた、危機。
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