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【400字小説】水玉戦法

国道を横断している際に、車がやって来て慌てたわたしは転んで、そのまま牽かれた。運悪く死ななかったよ。カラフルな水玉がクッションになったの。

「意味がわからない」とあの人に小説をこてんぱんに言われたけれど、これがわたしの信条だからやめない、やめない。むしろあの人の感性を疑った。

そんなど~でもいいことを倒れた青い空の下でなぜか思い出して、水玉が弾けるたびに心臓がドキンとして。あの人は黒縁眼鏡の見た目どおり頭固いなってシラケたなあ。この小説にも「詩でもないよ、これは」って押し付けてくるに違いない。軽蔑すらする、哀れにも思う、かわいそうに。自分が正しいって思い込んでいて、気の毒なんだよね。死ねば、認めてくれたのだろうか。

あんな事故を招いて死ななかったから27歳になっても自殺できないだろう。なぜなら水玉戦法で生きていくからだ。それでしか生きられないから、絶対に死ぬなってことだよね。

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