【なかがわよしのの61曲カヴァー企画】「Firestarter」ザ・プロディジー
「自殺は良くない。上島竜平とか竹内結子とか天国に行けてない」
「そんな一言で済ませられない。簡単な問題じゃない」
「いけないものはいけない」
「死にたいって思ったことないの?」
そう言われて言葉に詰まったユウジ。自宅で首を吊ろうとしたことがあったのだ。何本も繋いで作ったネクタイのロープの輪っかに首を通したまでは良かった。でも、怖くて乗っていた踏み台を蹴飛ばすことができなかった。あの時の屈辱感は忘れない。誰にもそのことは言ってない、目の前の親友であるフトシにでさえも。
「その話は場所を変えてしないか?」
ユウジは居酒屋にフトシを誘う。それでサブウェイの席を立って、マグカップを片付けようとする。タイミング良く食器類を回収に来た女性店員は半袖。リストカットの凄まじい痕跡が左腕に刻まれていた。「うわあ、生きてるね」と思わずユウジはその店員に声を掛けていた。店員は勝ち誇るように笑った。
◆◆◆
https://open.spotify.com/playlist/5rB5QR6w01DrYgGc8klsln?si=LIeuWnfoTW2zE-il6s7jDQ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?