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【400字小説】宇宙人ティーチャー

僕は知ってる。6年3組担任の先生は宇宙人だって。2組のアヤネちゃんから聞いたんだ。彼女は先生の子どもなんだよね。アヤネちゃんが保育園のとき、本当のお父さんに乗り移るところを目撃したらしい。火の玉みたいな物体が昼寝をしているお父さんの鼻の穴に吸い込まれて行くのを見たそうだ。

アヤネちゃんはしっかりしている、嘘を言うタイプじゃない。「早く高校生になりたい」って口癖。大人びているから、クラスでは浮いていて、からかわれたりもするようだ。でも、アヤネちゃんはへっちゃら。ほかの子だったら泣き出すだろうけれど、まったく動じないから、そういう意味ではアヤネちゃんも宇宙人。

問題は先生の目的。6年3組をどうするつもりなのか。4時間目になると必ず眠くなるのは先生の仕業か。眠ると巨大スイカの中をダイブする夢を見る、一瞬だけの。その時は僕の汗の匂いがする。宇宙人からのメッセージ? なんか意味あるのかな。僕はわからない。

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