【書評】最短突破 データサイエンティスト検定(リテラシーレベル)公式リファレンスブック

菅 由紀子他
技術評論社
2021/09/01

 会社の人事部の社員教育の一環で、データサイエンティスト検定を受験することになりました。IPAやらJDLAやら経産省が参画しているデジタルリテラシー協議会というものがあり、そこでDi-Liteというビジネスマンが身に着けるべきデジタルリテラシー範囲というものが提唱されています。対応するのがITパスポート、G検定、そしてこのデータサイエンティスト検定(以下、DS検定)というわけです。DS検定の主催はデータサイエンティスト協会というところのようですが、各社とお役所さんの利権が絡みそうな座組ですなぁと思いました。

 で、DS検定ですが、このDi-Liteの中では最も新しい資格となっております。今年2024年3月の開催で5回目。年間2回しか開催されず、合格ラインもおおよそ80%と、開催機会の少なさと合格ラインの高さ(合格率は直近で44%とか)から、コストに見合わない微妙に難関資格となっております。実はこの資格が創設されて初回試験実施の時に個人的に受験しようと思い、この本を買っていました。当時グロービスのビジアナを少しかじったくらいで、つまらなくなってすぐ放置してしまっていました。なので2年前の教材ですね。履歴見ると第2版が出版されているようですので、これから購入される方は新しいほうをご購入ください。

 この資格にも色々と思うところはありますが、この本も何というか、微妙です。ほぼシラバスというか、データサイエンティストの心得はこうだ!みたいな項目が試験範囲のカテゴリに即して箇条書きで200個くらい書いてあるみたいな感じ。私自身はある程度の予備知識があるので、復習+試験範囲の確認と肩慣らしみたいな感じで1周読んで合格水準に至れました。ただ、予備知識無い方がこれをいきなり読んでも、サッパリじゃないでしょうか。とにかく解説も少なく、練習問題も該当する項目のページが索引されているだけで、考え方や解き方の説明はありません。公式リファレンスブックということで手にしましたが、読む方は相当選ぶと思います。IPA基本情報以上+E資格か統計検定2級以上くらいの学習経験がないと、とにかく退屈で意味不明だと思います。なんか体系的じゃないし。

 私は保有している知識だけで合格できると判断してこれ以上の情報探索はしませんでしたが、初学者でこの一冊で合格は厳しいと思います。他の教材の探索や、そもそも他の資格の学習をお勧めします。

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