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風俗営業法 「立ち入り拒否」について

 ニュースで、「早朝まで営業、呼びかけても鍵 キャバクラ店長ら逮捕」という記事を見つけました(情報元)。

 風俗営業法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)では、警察職員は飲食店等に立ち入ることができます(風俗営業法37条)。また、立入りを拒み、妨げ、又は忌避すると風俗営業法違反になります(風俗営業法53条)。

 上記記事では、「早朝まで営業、呼びかけても鍵」とありますので、禁止されている深夜営業を行うため、ドアにカギをかけていたのだと思います。ここで、警察職員の立ち入りを避けようとしてドアに鍵をかけてドアを開けないと、「立入りを拒む」ことになります(風俗営業法53条)。

 上記記事を見て「うまくない」と思ったのは、ドアの外に人が来た時に「無視したと思われる」ことです。

 一般的に、風俗営業法違反が見つかると、処分が軽い順に、口頭注意、指示処分、営業停止処分、許可取消、刑事処分、がなされるはずです(口頭注意が一番軽く、刑事処分が最も重い)。

 風俗営業法違反が見つかった場合、直ちに、厳しく取り締まるべきではないと思われます。これは、店舗側も、ある行為が法律違反にあたるのか否かは分かりにくいですし、理解するのも大変だからです。また、風俗営業法は、風俗営業の健全化をも目的としています(風俗営業法1条)。この観点から考えると、店舗側の努力を促すことにより、風俗営業法を守る方向に誘導するのも大切です。そこで、口頭注意や、指示処分(風俗営業法25条)という手段があります。

 このように、店舗が営業禁止である深夜営業を行っていたとしても、違反の結果としてもたらされる処分は異なります。

 上記記事の件では、店舗側がこのことを知らなかったため、刑事処分(逮捕)という結果になったと思われます。また、逮捕されているということは、刑事訴訟法に基づいた捜索、逮捕という流れかと思います。そうすると、まず、店舗に指示処分(風俗営業法25条)がなされ、それでも改善されなかったので、刑事処分(逮捕)となったのだと思います。

 刑事処分(逮捕)となると、店舗の営業も難しくなりますので、なるべく指示処分位の段階で止めるほうが安全と思われます。


・風俗営業法25条

(指示)
第二十五条 公安委員会は、風俗営業者又はその代理人等が、当該営業に関し、法令又はこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し、又は少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該風俗営業者に対し、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため必要な指示をすることができる

・風俗営業法37条

(報告及び立入り)
第三十七条 公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、風俗営業者、性風俗関連特殊営業を営む者、特定遊興飲食店営業者、第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業を営む者、深夜において飲食店営業(酒類提供飲食店営業を除く。)を営む者又は接客業務受託営業を営む者に対し、その業務に関し報告又は資料の提出を求めることができる。
2 警察職員は、この法律の施行に必要な限度において、次に掲げる場所に立ち入ることができる。ただし、第一号、第二号又は第四号から第七号までに掲げる営業所に設けられている個室その他これに類する施設で客が在室するものについては、この限りでない。
一 風俗営業の営業所
二 店舗型性風俗特殊営業の営業所
三 第二条第七項第一号の営業の事務所、受付所又は待機所
四 店舗型電話異性紹介営業の営業所
五 特定遊興飲食店営業の営業所
六 第三十三条第六項に規定する酒類提供飲食店営業の営業所
七 前各号に掲げるもののほか、設備を設けて客に飲食をさせる営業の営業所(深夜において営業しているものに限る。)
3 前項の規定により警察職員が立ち入るときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第二項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

・風俗営業法53条

第五十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。
一 第二十七条の二又は第三十一条の二の二の規定に違反した者
二 第二十八条第五項(第三十一条の三第一項、第三十一条の八第一項、第三十一条の十三第一項及び第三十一条の十八第一項において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
三 第三十六条の規定に違反して、従業者名簿を備えず、又はこれに必要な記載をせず、若しくは虚偽の記載をした者
四 第三十六条の二第一項の規定に違反した者
五 第三十六条の二第二項の規定に違反して、記録を作成せず、若しくは虚偽の記録を作成し、又は記録を保存しなかつた者
六 第三十七条第一項の規定に違反して、報告をせず、若しくは資料を提出せず、又は同項の報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した者
七 第三十七条第二項又は第三十八条の二第一項の規定による立入りを拒み、妨げ、又は忌避した者


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