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これだけは知っておきたいギリシャ指標3

2回に渡ってギリシャ指標について書いてきましたが、今回は「ベガ」「セータ」です。

ベガはIVに関係するのでまずIVとは何ぞや・・から再度整理しないといけませんが、セータは時間だけなので非常に簡単です。なのでまずはIVとベガについて順番に勉強していきましょう。

ベガの基本

1回目の記事でベガは以下のように説明しておりました。

ベガ:IVの変動幅によるオプション価格の変動幅

IVとはImplied Volatility (インプライドボラティリティ)のことで、簡単に言えばオプションのプレミアムから計算された数値となります。
つまり、オプションが買われてプレミアムの価格が上昇すると、そこから計算されるIVの値も上昇することになります。

そしてIVが高いということは、それだけ場が荒れてボラティリティが高くなっているということになります。

上記したように、もともとIVの値そのものがオプションのプレミアムから計算されているわけで、逆に言えばこのIVがどう変動するかによって個々の将来のオプション価格の変動幅を予測できるというわけです。

何だかニワトリ卵の話のようでややこしいですねw

ベガの特徴

ギリシャ指標2

ベガはIVの変動幅を表しますから常に正の値となります。

そして、ボラティリティが急激に上がった時や逆に急激に下がった時に、最もオプションのプレミアム価格が動くのはATMですから、ベガもATMに近づくに連れ大きくなります。

例えばディープなイン・ザ・マネー(ITM)であれば、日経平均価格とほぼ同額でプレミアム価格が変動するので、変動幅はどんどんゼロになっていきます。
逆にかなり離れたファーのアウト・オブ・ザ・マネー(OTM)であっても、プレミアム価格の変動はごく僅かになっていきますから、これもゼロに近づきます。

よって、ATM近辺が最もボラティリティの変動幅に影響されるということになります。イメージ的にはガンマと似ていますね。

そして、このベガがオプション価格にどう影響するのかというと、

オプション価格の変動額=IVの変動率*ベガの値

というような計算式で表現されます。

例えばP22000のベガの値が[3.1145]だったとしましょう。
そして明日大きな急落があって、IVが4%の急騰となったとすると、

4%*3.1145=12.458円

すなわち、ベガの影響だけで12円~13円ほどP22000のプレミアムは値上がりすることになります。
もちろん、もっとも影響の大きいデルタとそれに次ぐガンマの値でもっとプレミアムは上昇しますが、それにさらにベガでも12円ほど追加上昇するよということになります。

上記の計算式で分かるように、ベガとは
IVが1%動く際に変動するプレミアムの価格幅
を表現しているということになります。

実は未来のオプションの価格を試算するのが難しい要因はこのベガにあります。
例えば、明日日経平均が100円下がったらこのPUTはいくらになるんだろう?と試算した場合、

デルタ:日経平均変動額の100円*デルタ値
ガンマ:日経平均変動額の100円の二乗*ガンマ値/2
セータ:明日=1日なので、セータ値*1

と、他の3つの指標は「明日日経平均が100円下がる」で、試算するオプションのプレミアム変動額が確定できます。

しかしベガは
ベガ:IVの変動%*ベガ値
であり、実は明日100円下がったとしてもIVが何%変動するか分からないんですね。
1%変動するかも知れないし、0.5%かも知れないし、3%かも知れない。

何故IVの値が確定できないかと言うと、IVは各行使価格帯のプレミアム価格から算出されるからで、要はオプション価格全体で弾き出されるからです。

余程大きくIVが変動しない限りは、ベガで一気にオプション価格が倍!みたいなことにはなりませんが、IVが大きい時期や価格帯のオプションを売買する場合は、ベガの影響も無視できなくなります。

セータの基本

ちょっとベガがややこしい存在だったので長々と書きましたが、セータは至ってシンプルです。

まさにオプションの基本である時間的価値を司る指標で、ずばり1日の経過で減価するプレミアムの値を表現しています。

セータ=-3.451

というようなオプションならば、1日経つ毎に3.451円づつプレミアムが安くなっていくよということです。

セータの特徴

ギリシャ指標3

まさにもう上で書きましたが、

セータ:タイムディケイによるオプションの変動幅

ということになります。

変動幅と言っても、時間は誰にでも平等に一定で経過していきます。SQ日という決済ゴールがあるオプションでは、確実に時間というものは減っていくものとなります。

ですから、セータの値は必ず負の値となります。
必ず毎日セータの値だけプレミアムは減価するということです。

そしてもうオプショントレードをしたことのある方なら肌で感じていると思いますが、重要なのは

1:ATMに近いオプションはSQが近づくに連れセータの値が大きくなる
2:ITMとOTMのオプションはATMから離れるほど、SQが近づくとセータの値が小さくなる

という特徴です。

と言っても実際重要なのは1だけですね。
基本的にはSQが近づくとセータが大きくなる=タイムディケイ(時間的価値の減少)が大きくなるわけですから、オプション価格が大きく下落するということです。
なので「売りが有利」「買いが不利」ということですね。

売りが有利と言っても、そもそもSQが近づくとATMに近いところでないとプレミアムが残っていませんから、リスクを取らないと売れません。なのでそこは注意してください。
セータ以上にデルタやガンマが暴発するような動きになると、売りから入っていると瞬間蒸発しかねません。

そしてもう一つ、SQ間際はセータが大きすぎて「買いが不利」という点が重要です。

1日で決済する前提でなら、大きく動きそうだから買いで攻める!のはありですが、思惑が外れたらすぐ決済しないとSQ間際はセータが大きくなりすぎて、デルタやガンマでのプラスを消し去ってしまいます。

例えばチャートから急落しそう!と考えた場合、SQまで7日以内のところでPUT買いを入れて、思ったとおり3日後に200円ほど下げても、セータの値が大きくてプレミアム自体は5円ほどマイナス・・みたいなことになりがちです。

なのでこういう場合は翌限月にしてセータの値が低いもので買いを入れる等の工夫が必要です。

ということで、今回は「ベガ」と「セータ」についてまとめてみました。

これで4指標+IVが出揃ったので、1週間後に日経平均が150円上昇していたら今持っているCALLオプションはいくらになってるんだろう? ということが自分で計算できるようになります。

またオプション価格シミュレーターなど、イマイチ使い方が分からなかったツールの使い方や意味が理解できるようになります。

ということで次回は実践的なオプション価格試算方法や、SBIアプリでの価格シミュレータの使い方を書いていきたいと思います。

それではまた!

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