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スプレッド解説:バックスプレッド

前回はレシオスプレッドを取り上げましたが、今回はその逆「バックスプレッド」について見ていきましょう。

ただしこのバックスプレッドは、CALL側だろうがPUT側だろうが、誤解を恐れずに書かせていただくならば、かなり上級者向けのスプレッドとなります。
考え方的には、レシオスプレッドの売りと買いを逆転した形なのですが、どこで建てるか、買いの枚数を何枚に広げるか、期先を使うのか否か、そして建てたら速攻で決済をしていかないといけません。

非常に難易度が高いので、今回はまずバックスプレッドとはどういう形なのかに絞って、最低限のことを知っていただければと思って取り上げてみます。

バックスプレッドとは

アット・ザ・マネーに近いところを1枚売って、遠いところを2枚以上で複数枚買う、という戦略です。

当然CALL側で仕掛けた場合に「コールバックスプレッド」、PUT側なら「プットバックスプレッド」と呼びます。

まずは形だけ見ていただくために以下のようなポジションの損益チャートを見てみましょう。

08 C22750 売 1枚 50円
08 C23000 買 2枚 25円

まさにレシオの逆ですね。
建て方のポイントは、「売りプレミアム>=買いプレミアム」にするか、デルタゼロにするかが大体の基本形です。で、オプションには4つのギリシャ文字指標があって、デルタ、ベガ、ガンマ、セータというワードを知っている方も多いと思います。。

中級以上になるまではギリシャ指標は知らなくても問題ありませんが、おいおい書いていこうと思っています。
デルタとはざっくりプラスで株価が上がって欲しいポジション、マイナスで下がって欲しいポジションになる形・・とイメージしておいてください。

つまりデルタゼロとは、株価がどっちに動いてもいいぜというバランスが取れた、ヘッジができた形だということですね。

バックスプレッドの損益グラフ

損益グラフはこんな形になります。

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レシオスプレッドの逆ですから、満期の形はガツンと凹むところがあって、その後は利益無限大、仮に反対に行っても損失限定となります。

しかも「売りプレミアム>=買いプレミアム」にしていれば、逆に走ってもプラスで逃げられるんですね。

これだけ見たらなんかすげーいい戦略のように思えますが、オプションのスプレッドはどんな戦略だろうとメリットとデメリットが表裏一体となっています。

そしてこのデメリットに対する対応策が初心者には難しいので、まずはそこをしっかりと見ておきましょう。

バックスプレッドの特徴

もう一度損益グラフを見てみましょう。

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期末の青いグラフを見ると、売りの22750円を超えると一気に含み損に転落、MAX損失はプレミアム幅の250円=25万円となっています。
そして23250円を超えると今度は利益無限大の形となります。

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そしてSQ週の月曜である8/10まで時間を進めると、期中である白いグラフは売りの23000円までマイナス側に凹んでいくことが分かります。

22500円まで株価が上昇しても含み損は-2.4万円になることがわかります。
21900円から22500円まで株価は600円上昇しても、CALL側なのに含み損なんですね。

何故こうなるかというと、例で上げたポジションがそもそもSQまで10日切っているからなんですが、ポジションを建ててから1週間以上保持してしまったからです。グラフを見て分かるように、時間が建てば白い期中グラフがズリ下がるからですね。

つまり、バックスプレッドの基本とは、
・超短期勝負であること
・相場がどちらに動くか予想できること

ということになります。

さらに、SQまでの時間が少なくなると分が悪くなりますし、時間がありすぎても効果がありません。
また、超短期勝負でないと利益になりずらいので、ダラダラ上昇や下降ではダメで、急騰・急落相場になる必要があります。

このように、バックスプレッドで効果が高い時は非常に限られていて、そこでしっかりと建てないといけないんですね。

買いを多く入れる形も有効

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例えば、時間をしっかり取るために9月限で以下のポジションを取ったとしましょう。

09 P21500 売 1枚 510円
09 P19500 買 4枚 125円

ちょっと手数料が高いのが難点ですが、買いを4枚入れるので証拠金はかなり抑えられています。

損益グラフはこんな感じ。

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7/31に21900円近辺で建てたとして、3日間所持して8/6に20800円まで急落したとしたら12.5万の含み益ですね。つまりこのような利益の取り方を狙うのがバックスプレッドの基本線となります。

短期間で白いグラフが下がり切る前に利益を取るわけです。
まさにピンク色に塗ったところを狙うことになります。

さて、日経平均先物が21900円の時に建てて20900円まで下落したわけですから値幅では1000円の下落。つまり先物ミニを1枚売っていれば10万円の利益です。しかも先物であれば証拠金も上記のスプレッドの1/10で済みます。

ではこのバックスプレッドの利点は何かと言えば、逆に株価がどこまで上昇しても最大含み損は8千円で済むところです。先物の単騎売りだとそうはいかないですよね。

そして売り510円、買い500円で10円プラスですから、最悪大きく上昇してしまったら放置していてもプラス1万円で逃げ切ることができます。また下げてきても21500円まで下げないうちに決済してしまえばいいわけですね。

ただし上で書いたように、中途半端に1週間以上保持した挙げ句にダラダラと21500円を割る展開になってしまうと、含み損が結構出てしまって切るに切れなくなってきます。
ですから3-4日で急騰・急落しそうなところで、シミュレーションしてしっかりと利益になりそうなポジションが見えてから建てるようにしてください。

そして建てたらMAXでも4日以内に決済することを心がけないといけません。

この「バックスプレッド」は、遠い方の買いのプレミアムが大きく跳ねることで利益が出るわけですから、ロング=買いのポジションになるわけです。
ですから短期決戦でやらないと、タイムディケイ(時間的価値の減少)の方が大きくなって損失になってしまいます。

とは言え、ファーの売りだけでなく、株価の動きを予想しながらポジション建てられるようになると戦略の幅が広がります。
デビッドスプレッドで緩やかな変動を取り、バックスプレッドで急騰・急落を取っていくシミュレーションを日々やっていくといざという時美味しい思いができますので、是非皆さんもいろいろなポジションをシミュってみてくださいね。

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