髭チャート_by_denisismagilov

負け続ける男・ぜぶらのトレード日誌 #1「今日も発泡酒すら飲めない」

【この連載は】衝撃的な妻の一言により、まったく興味のなかったトレードの世界に放り込まれた男(40歳)のセキララ日誌。いつ終わるとも知れぬ自虐連載にお付き合いください。

「ライントレード」をとことん追求する!

はじめまして、ぜぶらと申します。

ぶせな氏の著作『最強のFX 1分足スキャルピング』『最強のFX 15分足デイトレード』を読んで影響を受けた私は、懇意にしている日本実業出版社のW部長に懇願し、晴れて今日からこのnoteの場を借りて、億トレーダーになるまでのトレード日誌を投稿させていただくことになりました。

ぶせな氏の著作では「ネックライン」を見つけることが大事、ということが語られています。そのため、私もそこにこだわっていきます。

私が目指すのは、「ライントレード」です。

図1は、8月6日の晩、1時過ぎのドル円5分足チャートです。

パッと見てみた時に、ネックラインが見えました。図内「ネックライン」というものがそれです。

■図1 2019年8月6日ドル円5分足

この時、4時間などの大きい足では完全な下落トレンドでしたが、5分足の短いチャートでは少し上昇傾向が見えました。

そのため、ラインを引いて、エントリーの精度を高めていきます。ここでは、ネックラインを複製して、「チャネル」を作りました。それが緑の斜めの帯です。

このチャネルを引くことで、利確予定ポイントがなんとなくつかめます。

今回は図内の「利確予定ポイント」を目指しましたが、臆病者のワタシは「利確」というところで手仕舞いをしました。

利益は39円でした。

こんな感じで、ぶせな氏の著作に絡めながら、日々の投資のポイントを、自分なりに報告していけたらと思っています。

投資の世界に足を踏み入れる羽目に陥った、ある日の出来事

連載の最初に、私がどのようにして投資の世界に入っていったのかを、かいつまんで紹介します。

2013年10月、1つ前に勤務していた会社に入社した日のことです。33歳でした。

入社当日、「俺がおまえの上司だ」と名乗った人は、まさに「ザ・80年代」という風体で、たまげたことを覚えています。

以下の右の人にソックリでした。

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その上司から、「この原稿を読んでみてくれ!」と、人差し指をこちらに突き刺すポーズ付きで言われ、渡されたのがFXの初心者本でした。

それが、私が投資の世界に初めて触れた瞬間です。

私は両親が地方公務員でしたので、幼い頃から「投資」「ギャンブル」「迷彩服」は悪事として教育を受けており、正直イヤな思いがしたのですが、仕事なのだから仕方がありません。

読んでみたものの、ワケもわからず、「この先、この会社でやっていけるのだろうか」という不安な思いを感じました。ただ、その上司はとても良い人だったので、温かく見守られながら、1年の月日を過ごします。

そして2014年10月、その時がやってきます。

上司が製作した株の本が出ることになりました。その株本の著者先生はまったくの無名だったのですが、セミナーを開催して人前でお話ししたいという意欲が旺盛な方でした。

日曜日の開催だったのですが、上司から「どうやら人の集まりが悪いようだ。ぜぶら、行ってこい!」と、人差し指をこちらに突き出す例のポーズで言われたので、仕方なく参加しました。

1人でも多いほうがいいということで、妻にも一緒に行ってもらいました。

セミナー会場に到着すると、私たちの他に参加者は1名、つまり合計3名の参加でした。「一通り話を聞いたらすぐに帰ろう」、そう心に言い聞かせ、セミナーの時間を過ごしたことを覚えています。

まったく興味がない分野なので、眠気と戦いながら、意識が朦朧とする中、ふと気づいたら、私の傍らで、先生に質問をしまくっている妻がいました。

「本当に働かないで株だけで暮らすことができるんですか? 私は仕事がけっこう大変で、すぐにでも辞めたいと思っているんですが、私みたいな人でも簡単にできますか?」

「何を聞いているんだ、恥ずかしい!」と思いつつ、参加者が計3名だから、まぁいいか、とも感じていると、

「できます!」

自信たっぷりに返答する先生がいました。

その時は結婚してまだ1年だったのですが、これまで見たことのなかった私の知らない妻の一面が垣間見えた瞬間でもありました。

セミナーも最後になり、さっさと帰ろうと席を立とうとすると「まだ帰らないでください!」と先生が大声で私たちを呼び止めました。

「今日、この場で私の株塾に入ったら、1人30万円のところ、20万円に負けます!」

先生はいきなりこう言いました。

「は? ナニ言ってんだこの人」と思い、その場を去ろうとすると、妻が言いました。

「もう少し安くなりませんか?」

なんと、値切っているではありませんか。

先生はすかさず、「わかりました。今日、ぜぶらさんご夫妻がこの場で入会してくれたら、2人で25万円にします!」と高らかに宣言しました。

「入ります!」

即答する妻がいました。

こうして、私はまったく興味のなかった株の世界に強引に、飛び込むことになったのです。

入塾後、妻は「私、こういうの興味ないから。とにかく早く塾代を取り戻して、プラスαも早めにね」と言い、私に株塾のすべての勉強を強制したのです。

「あんなに嬉々として質問していたのに、なぜだ……。そうか、最初から私に全部やらせるつもりだったんだ」

気づいたときは too lateです。それからというもの、私は毎日、株価チャートを見ない日がなく、今日まで過ごしています。

チャートは株だけでなく、FXにも応用がきくので、さまざまな投資商品に目を向ける毎日です。

利益はわずか、なのに損失額は青天井

ただ、この間、いくら損失を重ねてきたことでしょう。

最初のうちはビギナーズラックで少し利益が出ました。友人と飲みに行ったときなどは、「なんか、株で儲かっちゃってさ!」などと自慢していたものでした(今では懐かしいことです)。

妻にも利益が出た日は報告しました。

しかし、そんなにうまく続くわけがありません。

損失の日は黙る、ということを繰り返すようになります(これは「投資家あるある」だと思いますが)。

最初のうちは損失が出ても、「1か月の給料が一気になくなっちゃってさ」などと余裕をこいていましたが、そのうちに損失額は給料1か月分だったのが3か月、半年、1年分になっていきます。

そして、これまでまったく気にも留めていなかった世界の経済ニュースに翻弄されることになり、大きなニュースがあるたびに、どんどん資産は減り続けていきました。

よくニュース番組の冒頭で、「日経平均株価が大きく下落、今後の先行きも不透明です」というニュースをよく目にするかと思いますが、その裏では確実に私が損していることを、少し頭の片隅に入れておいていただけたらうれしいです。

それでも、「投資を始めてプリウス1台分をなくした男」というのを自分のキャッチフレーズにして、相手の反応を楽しんでいた時期もありました。

ただ、トランプ大統領就任以降は、彼が気まぐれに発信するTwitterのせいで、惨憺たる有様になっています(これも「投資家あるある」だと思います)。

ここだけの話、今では「ベンツの高いヤツを1台分なくした男」になっており、これは妻にはもちろん、友人にも、誰にも言えません(書いてますが)。

そんなこんなで、このnoteの連載で、1円でも取り返していきたいと思っています。

(ぜぶら)


日本実業出版社のnoteです。まだ世に出ていない本の試し読みから日夜闘う編集者の「告白」まで、熱のこもったコンテンツをお届けします。