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終末の飯屋にて

2024年6月14日~16日、座・シトラス本公演ZESTAが開催されました。

ZESTA

まずZESTAという言葉ですが
zestful:熱心な、興味をもった、香味ある(特にシトラス系の?)
festa:(イタリア語)祭り
から生まれた造語です。
座・シトラスにふさわしい、熱のこもった祭りのような8つの公演が集まったZESTA。ご来場、配信にてご視聴いただいたお客様、誠にありがとうございます。

ZESTA8公演のすべて!

私はその中で、『救世主飯屋きゅうせいしゅめしや』と『即興島そっきょうじまの殺人 名探偵めいたんてい子子子子子しごねねこ最後から3番目くらいの事件』という作品で、作・演出・出演を行いました。
こちらのnoteでは、『救世主飯屋』について書かせていただきます。

2024年6月28日(金) 23:59 まで配信購入可能です

まだご覧いただいていない方は、是非、公演配信をご購入いただきご覧ください。
こちらのアドレスからご購入いただけます。

タイトルや初期構想について

『救世主飯屋』というタイトルは、私が大学生の時に『救世主飯店きゅうせいしゅはんてん』という芝居をぼんやり考えていたのが由来です。中華料理屋で天使と悪魔たちが戦う芝居をしたいと思っていました。
時を経て、料理で戦う即興芝居ができないかと考えていた時、この記憶が呼び起こされ、今回の公演の企画の第一歩となりました。
元々は、天使と悪魔の『美味しんぼ』みたいな料理対決の話になりそうでしたが、「舞台上で即興で料理で戦うって芝居でどうやるねん?」「お客様から素材名をいただいて組み合わせて料理する大喜利かよ」とか悩んでいました。

結局、お客様に何を見せたいかと考えたら、キャラクターの葛藤のあるドラマと、役者が即興で苦しんだ末に生まれるbombだと行きつきました。すると、座・シトラスの一大コンテンツ『Vote Show』のことを思わずにはいられなくなり、それをベースに招待隠匿系ゲーム要素+お客様参加型要素+人間ドラマ要素に私の大好きな中二病要素を加えこの作品ができました。

破滅に向かう世界

『救世主飯屋』は、天使と悪魔が戦う中で、そのバランスを崩すほど大きな力を持つ『破滅者』が、天使側か悪魔側かに誕生してしまう。その『破滅者』を追放し、世界の均衡を守ろうという話になっています。
『破滅者』は、徐々に『感染者』仲間を増やしていきます。人狼で言う、誰かを噛み殺す要素です。しかし途中脱落してしまうのは役者の数が減り魅力が減ってしまうので、罰ゲームを与えることにしました。
『感染者』は、お客様に書いていただいた料理名『メシアワード』を、自分が選んだ天使1名悪魔1名と共に即興演劇でシーンを作りながら、その『メシアワード』を言わずして当てさせるという、インプロゲームのような事をします。
もし失敗すれば、『メシアワード』しか言えなくなってしまいます。
例えば、『焼肉』という『メシアワード』を当てさせることができなかった者は、『感染者』になり、『焼肉』という言葉しか言えなくなります。(一部のシーンでは、『魂で会話できる』として『メシアワード』以外を喋れます。)
『メシアワード』の罰ゲームの後、特定の天使と悪魔の1対1で話すシーン(コンフェッション)をはさみ、誰が『破滅者』かを議論するシーン(カウンシル)を行います。カウンシルでは、『感染者』は『メシアワード』しか言えないので、その中でどう議論するかが見所です。

キャラクターについて

ここからは一部ネタバレも含め、今公演に参加してくれた役者への感謝です。

4マナの天使サケレル役 asyulan


安定のasyulan。そして混沌のasyulan。
天界側で最高位(4マナ~1マナでその強さを示しています。)の、天界の総務部みたいなところで働いている天使です。(余談ですが、『新宿MAYHEM』というボードゲームでは、天界の総務部長のキャラがいます。)
サケレルはラテン語の『sacr(神聖)』から来ています。神聖過ぎてすべての者は悪魔も含め天界の主に救われるべきという、やり過ぎの白さを持っています。
妄信的な神聖さを軸に、色んな動きを見せてくれたasyulan。本番ではまさかの展開を作り出し、マナをも使って魅力をぶつけてくれました。知り合いで一番天使っぽいのに悪魔っぽいのもこなせる役者で、本当に出演してくれてよかったと思いました。

3マナの天使ベルメル役 丹波枠


やっと出演してくれましたね。
ベルメルはラテン語の『bellum(戦争)』から。すべての悪魔を滅ぼすべきという、過激な白さを持っています。
稽古の時から特定の悪魔に対する敵意(笑)を持って演じてくれた枠君ですが、色々振り回されているあなたはとても面白い。しかし決める時には決めてくれて力強い若さを見せてくれました。シリアスと笑いもできるので今後もよろしくお願いいたします。

2マナの天使ルーデレル役 新谷友梨


背が低くて髪の毛の色がちょっと変わっている娘。
ルーデレルはラテン語の『ludere(遊び)』から。天界はハッピーな世界、天使の聖歌隊で歌ったり踊ったりしている、無垢の白さを持っています。
わかりやすい天使を演じてもらいつつ、稽古で『美味しんぼ』を読む練習をしたため、何故かリアクションが『美味しんぼ』の栗田ゆう子みたいになってしまった。しかし本番で感情を解き放つ時に心を揺さぶられて、いいシーンを見られたと満足しました。

1マナの天使ラッセル役 江森一樹


なんかこうホントひどいな(笑)。
ラッセルはラッセル・クロウから来ています。ラッセル・クロウが『マイティ・ソー4』で演じた役からです。ラッセルは天界の屋台でケバブやかき氷を言っていると言っています。
変なおっさん、という天使っぽくない天使を演じてもらいつつ……想像を超えて本番当日に衣装を見せてくれて、それが全く白くなかったので改めて買いに行ってもらったというエピソード。酒の場でも酷かった。でもインプロが上手くて期待を超えてくれました。

4マナの悪魔サピエンティア役 浅川直樹


いやー、共演できてホントうれしかった。
サピエンティアはラテン語の『sapientia(知恵)』から。人間に知恵を授ける悪魔というイメージで、禁忌の知識の黒さを持っています。
気合の入った悪魔ファッションを見せつけてくれて、オファーした甲斐があったというものです。顔合わせの際に、既に名前の意味を調べてラテン語のsapientiaに行きつく知識欲から、既にもうサピエンティアでした。いるだけでかっこいいのに、正統派の演技もからめ手も使えるので大好きな役者です。

3マナの悪魔アーレア役 瀬下冬梧


サブカルの塊で、この作品の最適解。
アーレアはラテン語の『alea(賭け事)』から。武器商人として活動している悪魔で、悪事に興じる黒さを持っています。
一番悪魔っぽいと言うか、サブカル作品のそういうものを合体させた面白さを見せてくれました。『救世主飯屋』のテストプレイで、あまりにもうまく演じてくれたため、共演したことはなかったけれどスピードオファーした役者。別でも話しますが急に吹っ切れた感があり、舞台上でもベルメルと熱い絡みを魅せてくれました。いいね!

2マナの悪魔レイノル役 十市真緒


『救世主飯屋』のマスコット的存在(笑)。
レイノルはライアン・レイノルズから。キャラクターのモデルがMarvelのデッドプール。他の天使や悪魔には見えないものが見えていて、第4の壁を越えられるキャラクターとしています。
十市真緒という役者をどう使うかを考えて、もう逆に考えないことにしました。好きにしていいと言ったら一番大変なキャラクターになりました。ベルメルが一番滅したい悪魔。衣装にコストを費やしてくれて、見事なトー横地雷少女になってくれました。何とVote Showにもそのまま出演。気に入ってくれたようで幸いです。キャラクター的にも一番好きです。次回作にも出したいけど設定上どうなるか。

1マナの悪魔セーリウス役 石巻遥菜


なんかいつもありがとうね。
セーリウスはラテン語の『serius(真面目)』から。地獄のバーテンダーで、受難や責め苦の黒さを持っています。
「悪魔側やりたい!」と真っ先に言ってくれたので悪魔にしたけど、思ってたのとは違う悪魔だったはず。それでもマキの好きなキャラクターだったかなぁと作者の自己満足があります。インプロに真摯に取り組み、めっちゃ人気がある役者で、また私の作品に出てくれて感謝しています。実直に質問してくれて作品を理解しようとしてくれたことも嬉しい。ルール説明の画像もありがとう!

以上を持って、天界と悪魔の戦いは終わり。残された者たちがこれから向かう先は天界か地獄か。少なくとも、我ら9人が向かう先が、希望に満ち溢れた道であることを祈る。己の中にしか、己を救う言葉はない。

それでは、良い終末を。

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