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漫画の話『ヤミの乱波』〜スパイ漫画の迷作〜

さて、漫画の話をしましょう。保険の話なんてつまんないしね。

今日紹介するのは、『ギャラリーフェイク』や『愛しのバットマン』で有名な細野不二彦のスパイ漫画、『ヤミの乱波』です!この漫画、一応は戦後を舞台にしたスパイ漫画なんですが、色々ぶっ飛んでいて凄く楽しい漫画です!しかし、例によって残念ながらマイナーな感じです。ともかく!紹介して行きましょう!

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あらすじ

大戦中、中国大陸で「犬」というコードネームで名を馳せた日本軍諜報員、桐三五(きり・さんご)は戦後の日本で目的を失い、抜け殻のようになっていた。しかし、桐は偶然かつての上官、猿田征四郎(さるた・せいしろう)に出会った事で、再び諜報の世界へと戻る事になる。そして桐は極秘に残された天皇とマッカーサーの対談のメモを追い、GHQ統治下の日本、アメリカ、ソ連などの思惑が絡まり合う謀略戦に巻き込まれていく。

主人公の桐と上司の猿田

スパイの世界ってスゲー!

この漫画、あらすじで書いたように基本的なプロットは真面目なスパイものなんですが、時々とんでもなく変な演出や展開があります。例えば、ソ連に思想と体を改造された赤化戦士なるものが登場します。

空を飛んでるのがソ連に改造された赤化戦士

えっ、何それは…って感じなんですが、この漫画の中では「ソ連に改造された」というだけの説明で普通に受け入れられます。ソ連の科学力ってスゲー!

もちろん、ソ連だけではありません。別の話では闇市を守る朝鮮人民の神と言われるロボット(強化外骨格)も出ます!

強化外骨格白き馬!!あれ?漫画間違えたかな?

この作者ってスパイとか謀略戦を何か勘違いしてるんじゃないかな?って感じですが、普通のスパイ(?)っぽい描写もあるのでその辺もよくわかりません。

普通のスパイっぽい事する主人公の桐さん

ただ、私はスパイの世界は映画や漫画でしか知らないので、ひょっとしたらこういう謎のサイボーグやロボットが飛び交うのが真のスパイの世界かもしれません。スパイの世界って恐ろしいなあ…。

脇を飾る歴史上の人物!

また、この漫画では脇役として昭和の歴史上の人物が登場するのも見どころです。主人公である桐の雇い主は吉田茂(よしだ・しげる)ですし、他にも東大生で金貸しを始め、光クラブ事件を起こした山崎晃嗣(やまざき・あきつぐ)や、後に三島由紀夫と名乗る平岡公威(ひらおか・きみたけ)など、数々の歴史上の人物が登場します。

山崎晃嗣(後)と平岡公威(前、三島由紀夫)
このセリフは三島由紀夫の『英霊の聲』の有名な一節

こういう歴史上の人物のリアリティと、ぶっ飛んだ展開が同居するのがこの漫画の魅力です!多分!

まとめ

スパイアクションが好きな人、特に昔の『007』シリーズの変な兵器とか、『必殺仕事人』の明らかに時代的におかしい武器とかが許せる人にはオススメです!ちなみに私はそういう変なの大好きなのでこの漫画はかなり好きです!ただし言っておかなければならないのですが、この漫画は人気なかったので4巻で打ち切りになっており、どこかに隠されてる天皇とマッカーサーの対談記録を奪い合うなどの、メインとなるストーリーとか伏線とかを放り出して、ぶつ切りで終わってます。それでもいいという人はぜひ読んでください!

本日の漫画紹介でした!

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