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漫画の話『千年狐』~他人が詰められてるのって楽しいよね~

さて、漫画の話をしましょう。保険の話なんてつまんないしね。

今日紹介する漫画は張六郎の『千年狐 ~干宝「捜神記」より~』です!なんか、あんま聞いたことない作者と作品だな…って思うかもしれませんが、今連載してる作品で、私が一番楽しみにしてるものの一つです!ちなみに掲載誌は『月刊コミックフラッパー』なにその雑誌?って感じですよね…分かってます!そういう漫画雑誌があるんです!では紹介していきましょう!

1巻表紙(主人公の廣天、ちなみに女性です)

あらすじ

西晋の時代(分かりやすく言うと三国志の時代の後)、ある墓地に千年生きている廣天(こうてん)という名の狐がいた。廣天はその墓地に立っている華表(かひょう、看板とか立て札をつける柱の事)に、人間に化けて知恵比べをしてくるのだと言う。そして廣天は人間達の中で様々な事件に巻き込まれる…。

廣天(狐形態)と華表

狐はともかく、柱が喋るの?なんか不思議な世界観だな…って感じですが、それもそのはず。この漫画には一応原作があって、『捜神記』という中国の1500年以上前の妖怪や仙人など超自然的な逸話を集めた小説なんです。「一応」と書いたのは、この漫画かなり原作と違うので…原案やインスピレーション元程度かな。ともかく!この漫画は古代中国の不思議な世界観を楽しめる作品なのです!

古代中国ってすげー!

ギャグ?シリアス?

この作品、基本的には全編を通して出てくる登場人物は廣天と華表(焼かれて炭になり炭片と呼ばれ、鉢植えに植えられて神木と呼ばれる)ぐらいで、その他のキャラクターは章や時代が変わるとほとんど登場しなくなります。

廣天(右)と神木(左、焼かれた華表から生えた芽)

そして特徴的なのは、全体的にはギャグ調で明るい作風なんですが、そのギャグの中でも平気で人が死んだりと、独特の世界が展開されます。

人が死ぬのもギャグになる世界

この毒のあるユーモアや死生観も私は大好きなんですが、万人受けするものとは思えないので、その辺がこの漫画が大ヒットとかしない原因の一つかなあとは思います。

ロジハラ大好き狐

そしてこの主人公の廣天は、基本的にずっと一緒に育った神木以外には心を開いておらず、たまに悪魔みたいな態度で人を試したりします。いや、たまにじゃなくて結構な頻度だな。

知識人にマウントを取る廣天
妻が自殺しそうな夫を試す廣天

しかも廣天が人を試すときは、常に人が見たくない現実や正論を突きつけるという、非常に性格の悪いロジックを使います。簡単に言うとロジハラですね。本当、この狐こんなことしてるから友達いないんだろうな。…それはともかく、人でも獣でもない不思議な存在の廣天が論理的に正しい事を言い、人間が非論理的な言動をするという対比が、この作品の大きな魅力の一つです。

廣天と神木は様々な事件に遭遇するのですが、常に部外者として最終的には去っていきます。この独特の冷めた目線と、バランス感覚が本当に素晴らしいです。ちなみに作者の張六郎はこの漫画で賞を取りデビューしたという経歴で、これが商業初の作品となります。才能というのは恐ろしいなー。

まとめ

この漫画はまだ連載中なので最終的な着地点は分かりませんが、ともかく古代中国の不思議な世界観が好きな人、人と獣や妖怪などが混じり合う世界観が好きな人にはおすすめできます!コミックウォーカーという角川がやってるWEB漫画サイトで無料である程度読めるので、今すぐググりましょう!ユー・マスト・グーグル!

あと、他人が怒られたり詰められてるのを見ると、心がポカポカする性根の曲がった人(私はそうです!)、今すぐ読みましょう!他人が詰められるのって最高ですよね!!

本日の漫画紹介でした!


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