『曲「地球最後の告白を」から連想する物語』

「綺麗な夕焼けだね」君は笑顔で僕に言う。

僕はこれっぽっちも夕焼けなんて見ていなくて、夕焼けに照らされる君の顔を見ていた。

「ねえ、私のこと好き?」不意に彼女は僕に問いかけた。

「不老不死にでもなれたら教えてあげるよ」笑いながら僕は言った。

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あれから八十年が経った。

僕は変わらず十八歳で、彼女は昨日亡くなった。

「神様素敵なプレゼントありがとう」なんて、言えるわけもなかった。

誰の悪戯か、僕は歳を取らない不老不死になってしまった。

彼女はそんなことも知らずに、幸せな家庭を築いた。

僕は、自分の身に起こったことを知られないように生きていた。

君の子どもは君に似て、優しい子だったよ。

君の孫は、君に似ていつも周りを笑顔にしていたよ。

君の子孫たちは、どこかしら君に似ていて、でもだんだんと君から離れていって、僕はいつも一人になる。

そろそろ地球も終わるらしい。

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地球が終わったって、僕は死なずに生きている。

誰もいなくなって、一人の世界。

あの時見たような綺麗な夕焼けが、何もなくなった地球を照らしている。

「君のことが好きだ」僕は呟いた。

僕がそう言うと、地球から人間は誰一人としていなくなった。


何もなくなった今更気づいたんだ。

君が好きだったって。



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