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のび太の逆襲

フリーランスの庭師です。

タイトルにある『のび太』とはドラえもんに出てくるのび太のことではなく、私が名付けた熱帯魚のことです。

なので、ドラえもんに出てくる『のび太』を期待した方にはゴメンなさい。

私が熱帯魚を飼い始めてから20年が経ちますが、一時期スマトラという熱帯魚を飼っていたことがあります。

見た目が可愛いので3匹買ってきたのですが、実はこの熱帯魚はなかなかに面倒な魚でした。

というのもスマトラは気性が荒く、他の魚のヒレを食いちぎってしまうのです。知らずに買ってきてしまったので、別の種類の熱帯魚のヒレを次々と食いちぎっていきました。

結果、ヒレを失った魚は満足に泳ぐことができず、次々と天に召されてしまいました。

そして残ったのは3匹のスマトラのみ。水槽内が寂しいので魚を増やしたかったのですが、またスマトラにやられてしまうと思うと増やせません。仕方なく3匹のスマトラが天寿を全うするまで我慢することにしました。

3匹を観察していると、暫くして2匹が1匹を攻撃するようになりました。

3匹のスマトラは大きさに差があり、大、中、小といった感じでした。苛められているのは一番小さなスマトラでした。

そこで、一番大きなスマトラを『ジャイアン』、中くらいのスマトラを『スネ夫』、そして苛められている小さなスマトラを『のび太』と命名しました。

水槽を眺める度にジャイアンとスネ夫がのび太を苛めているので、水槽をトントンと叩いたりして、私なりにのび太を救おうとしていました。

ところが、それから暫く経った頃、状況が変わっていきました。

いつもジャイアンとスネ夫はのび太を追いかけ回していましたが、のび太のヒレを食いちぎるまでには至りませんでした。のび太は意外と俊敏だったのです。

そして、いよいよのび太の逆襲が始まったのです。

のび太は苛められながらも何とか毎日餌を食べ、少し大きくなって力を付けたのか、スネ夫を攻撃し始めたのです。

あれよあれよという間にスネ夫のヒレが食いちぎられていきました。そして遂に泳げなくなったスネ夫は天に召されました。

残るはジャイアンです。さすがに体格差があるので向かってはいかないかな?と思ったのですが、積年の恨みなのか、のび太はジャイアンに攻撃を始めました。キレたのび太は怖い。

俊敏さを生かし、果敢にジャイアンに向かっていきました。やがてヒレを大方失ったジャイアンは天に召されました。遂にのび太は逆襲を果たしたのです。

1匹になってしまったのび太はおとなしくなりました。そして、そこから一年以上元気に過ごしました。

毎日苛められても耐え、逃げ回ることで俊敏さを手に入れ、厳しい状況の中でも必死に餌を食べて大きくなり、そして満を持して逆襲したのび太。私の熱帯魚飼育の歴史に名を刻みました。

でももうスマトラを飼うことは無いと思います。熱帯魚とはいえ、殺し合いのような光景はあまり見たくないものです。

現在の水槽内には、コリドラス、ゼブラダニオ、ネオンテトラ、メダカが仲良く過ごしています。


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