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青い鳥、実は白かった

Twitterのアイコンを説明する機会があったとすれば「青い鳥」と説明していたであろうが、よく見ると鳥は白かった。
背景が青なんだな。

大学時代、あまり親しくなかった先輩のアカウントがTLに流れてくる。
呟きを見たことがないと言っていいほどの方だったが、いまアカウントを見てみると、名前の後ろに@〜営業 と書かれており、アイコンはまるでバチェラーのような服装に身を包んだ自身の姿、プロフィール欄はいままでの経歴職歴、ツイートはいわゆる"ビジネス"がなんたるかを呟くアカウントへと変貌を遂げていた。
もうそろそろツイートの最後でプロフィール欄へと誘導してくるだろう。

青い鳥(本当は白)はいまや阿鼻叫喚の魑魅魍魎が跋扈する地獄だ。

すぐプロフィール欄へ誘導してくるビジネス系アカウント(リプ欄では必ずその人の名前を最初に呼び感想を述べる"仲間"が集っている)。

旦那へのヘイトに共感を求める、名前の後に5y+2yとか書いてるママアカウント(高校時代はプロフィールにsince 20xx.x.x〜 と必ず書いていた、絶対)。

他人のバズったツイートを改めて呟き、二番煎じバズりをするバカクソビチクソアカウント(リプの最初はAmazonのえっちな写真集のリンク)。

いまやとか言ったけど、あそこはもとから地獄だったか。
そうして垂れ流される地獄をチベットスナギスネのような面持ちで見ているのが僕だ。

こういうことを考えるとヘソの奥のあたりがぎゅっとなる感覚がある。

ビジネスに目覚めた先輩も、子育てに疲れたママも、信念に取り憑かれたあの人たちも、みんな必死だ。
夢中とも言えるかもしれない。

学生時代は僕もそれなり呟いていたが、最近は全くなくなってしまった。
照れなようなのもあるのかもしれない。
薄ら笑いを浮かべながら、ただ画面を下から上にフリックしていく。
いま、僕の価値観や判断基準はあそこで醸造されていると言っても過言ではないかもしれない。
緩やかな地獄だ。

こういうことを考えながらも、その考えに蓋をしてヘソの奥に仕舞い込む。
そうしてまた、あらかた見終わったのちにさあ見るのをやめるぞとアプリを閉じたその瞬間またアプリを開く という愚行を繰り返すのだ。

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