我らという等しさ
ふと足元に目をやると
思いもかけず
巨大な穴があった
覗きこみ
その果てしない深さに
既にあったのだと
慄然とし
何かが湧き出すように
ブラックホールの内より
この小さなかけらを震わせている
気づかないことに慣れてしまった
言葉はいつも賢すぎてしまった
けれど そのものを
表せないことを認めるとき
それは確かにそこにある
実存という深い穴
見上げれば 遠く
明滅する 誰かがいて
接続するIFより
流れ込む聞こえない声
届かない表情に
己もそうであると
愕然とし
何かが響くように
虚空の果てより
この小さな地平を揺らしている
気づかないことに慣れてしまった
言葉はいつも賢すぎてしまった
そして そのことを
届かないことを認めたら
彼らは確かにそこにいる
彼我という明滅する地平
身体を忘れた言葉たちは
まるで穴に落ちたように
ただ迷路をひたすらに描く
分かり切った出口へ
至ることを恐れるように
それを語ることが出来ないのは
そこに言葉は未だないから
そして未来永劫辿りつけない
巨大な穴の周辺を
巡る言葉は揺れる
まるで生まれたての瞳のように
一つに委ねれば
顔を忘れてしまえば
彼我はたゆたう波の中へ浸り
内へと進むほどに
輪郭はぼやけるほどに
地平は親しく照らされる
まだ色づかない形のない感情が
未だ言葉にならない見えない萌芽が
底より湧き上がってくる
それをどうにかして
何かとして
放つために 誰かはあるのではなく
もしかして
この変換の正しさを問いたくて
誰かを求めるのかもしれない
何かが響くように
虚空の果てより
この小さな地平を揺らしている
連続する断絶のリズムが
響いている 内への問いが
外へ向かって広がっている
答えのない問いを繰り返す
幼子の問いは純粋な知性
言葉を超えた答えがある
何かが湧き出すように
ブラックホールの内より
我らという小さなかけらを震わせている