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虹が真円になれない訳

どこにもありはしないものが
どこにもありはしないところへ
かたちのない言葉は
仮想の空間で
デコードされる

白く暮れる街の
ほとんどそれは
かたちのない誰かの
何かで出来ている
そして
何物でもないものたちの言葉が
厚く垂れ込めた雲から落ち
遍く数多の誰かを震わせる

虹が真円になれない訳は
その半円が影にあるから
それはまるで
不可分にある
身体という現実と
姿のない我らのように

しかし
雷鳴を引き連れて
紫の閃光は虚空へ昇る
決して丸くなれない
モザイクな我らにこそ
あの言葉はある

しあわせのように
自らを投げ出して
この世のあるように
最も弱いものを
互いに分かち合うこと
そして
そのことを諦めないこと

どこにもなかったものが生まれる
ほんとうに叶えたかったことが
仄かな雨上がりの陽の下で
二輪の花のように
寄り添っている