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傷一つない真実

花が一輪咲いた
薄闇の帷の下で
冷め始めた風が吹いていた
花は寄る辺なく揺れることしか知らず
屈託を面に出すことさえ知らない

小さな真実を灯すように
夜を過ごす白い花には夢がない
花は眠れずに目を閉じて沈んでいる

酷薄な空の蒼に染まるように
終わりのときを知るころに
瑞々しさを湛えて深く
翠を濃くして碧く光り出す

薄闇に燐光して
俯くことをやめて
真っすぐに顔を上げて
ただ一つの光だけを見つめている

遠く遠く真夏でさえ遮れない程
冷たく澄んでいる
すべての子どもたちが
失えなかった瞳の眩しさ

誰もが持っていた
いつか見失った光
真っすぐに
ただ真っすぐだったころの
傷一つない真実