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物語な詩群

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2022年11月の記事一覧

声(物語詩)

声(物語詩)

優しい神様はいない
傍にいるのは
いつも優しい悪魔だけ

いいえ

何処かで護られている
何時も知らないうちに
危うさから逃れて

いつも悪魔から
少しずつ遠ざけている
堕ちてしまわないように

見えないように
護ってくれることに
甘えずに道を進みなさい

人は人と
釣り合ってしまうから
少しの悪が次第に深まる

それゆえに

他のために優しくあれば
魂は魂と
等しく惹かれ合うのだから

或る晩(物語詩)

或る晩(物語詩)

そうだった
あの月のやけに明るい晩のこと
母は只事ではない様子で
裸足でわたしを外へ
引き摺って行こうとした
わたしが必死で逃げると
そのまま母は走り出て行って
鬼のような姿になり去ってしまった
最後に何か言ったが覚えていない

あれは、冬のとても寒い夜のことだったと思います。眩しいほどに月が輝いていたのです。
かつて、様々なことがありました。結局最期の時にやっと、解放されたのです。逃れたかったの

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