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すごいぞ! 全国建築塗装技能競技大会 出場者の声 編

みなさん、こんにちは。「第27回全国建築塗装技能競技大会」の第二弾として、出場者の声をご紹介します。

全国建築塗装技能競技大会は、2年に一回の一大イベントです。第27回大会は令和5年10月18日(水)・19日(木)、新潟県長岡市のハイブ長岡にて行われ、全国から各ブロックの予選を勝ち抜いてきた塗装職人が集結しました。

今大会では塗装職人として「真の日本一を競う」というコンセプトにより普段の作業の延長線上の技能を問う課題となっています。
また、地元ブロックでの先輩方からの指導を受けて、37名の選手が競技大会に臨みました。今大会の経験を通して、出場選手が次世代に技能、技術を継承してほしい。そんな願いが根底にあります。
なお、大会の企画・準備には技能委員会が取り組み、出場者の皆さんをサポートしています。

技能委員会委員長 長谷川秀樹さん

第27回全国建築塗装技能競技大会のくわしい模様は、下記の記事からご覧ください。


競技大会では、数々の賞が授与された

競技大会は2日間に分けて行われ、そのハイレベルな技を駆使しながら、決められた制限時間内で課題を仕上げます。まさに塗装のプロ中のプロが、自分たちの技をお披露目するというスゴイ大会です。

優秀な成績を残した出場者には、内閣総理大臣賞や国土交通大臣賞、厚生労働大臣賞をはじめとした、さまざまな部門賞が贈られます。今回は、そうした栄誉ある賞を手にした出場者の中から、上位3名と女性入賞者1 名の声をご紹介しますね。

彼らが競技大会に向けて、どう取り組み、工夫していたのか。その言葉の一つひとつから、塗装にかける真剣かつ熱い想いが感じ取れるはず。ぜひご一読いただければうれしい限りです。


受賞者の声

内閣総理大臣賞 松田 剛さん (有)丸正マツダ塗装 


受賞の感想は?
今回、初出場にもかかわらず内閣総理大臣賞を獲得できて、素直にうれしいです。競技大会に向けて練習の毎日でしたから、努力が実ったという感じでしょうか。上位入賞を果たし、日ごろからお世話になっている業界の先輩や後輩、会社の仲間、そして家族みんなに喜んでもらいたい。それをモチベーションに練習してきたので、よい結果が残せてよかったです。

また、私自身も確実にスキルアップできたうえに、どんな現場にいっても動じない精神力も身に付けることができました。

競技大会に向けて工夫した点は?
出るからには上位入賞したい。その思いを実現するために、私はタイムスケジュールを立てることにしました。それぞれの課題を仕上げるには、どれだけ作業時間がかかるのか。全体像を知ったうえで、どのようなペース配分で作業すべきか。私には緻密に塗り込むクセがあるうえ、イメージを必要とする自由課題が苦手で時間もかかってしまいます。そうしたことも含め、どこに時間をかけるべきか等を考えておけば、一定の品質を保ちながら課題に取り組めますから。

この時間の感覚をつかむために、試行錯誤を繰り返し、とにかく練習する日々でした。競技大会の2カ月前くらいから取り組みはじめ、仕事が終わってから毎日9時、10時くらい、ときには真夜中の2時まで練習することも。ちなみに現地へ移動するため飛行機を使ったのですが、その出発3時間前まで練習していました。(笑) 

何が大変でしたか?
競技大会で苦戦したのは、ふだんあまり手がけることのない櫛引模様仕上げです。そうはいっても猛練習をしましたし、タイムスケジュールの成果もあり、焦ることなく仕上げることができました。

塗装の面白さは?
塗装の面白さは、自分らしさが表れることです。適当に塗れば荒い仕上がりになり、真剣に取り組めば、いい仕上がりになります。自分が真剣に取り組んだ作業が、そのまま結果として見えるのが好きですね。あと、技術的にできないことができるようになることも、この仕事の喜びの一つです。職人歴20年ですが、楽しくて仕方がありません。

今後の目標は?
今後は、これまで以上に後進育成にチカラを注いでいきたいと思っています。やはり後輩たちが育たないことには、業界自体の活性化にはつながりませんから。


国土交通大臣賞 前田 誠治さん (株)KYO-SHiN

受賞の感想は?
何かと不安が多かったです。初参加であることはもちろん、今回から課題の変更があり、全く参考情報がない状態で挑む必要がありましたから。しかし、競技大会では持てるものをすべて出し切りましたし、精一杯やりきったので後悔はありませんね。

実は社長である私は、現場から離れて3年ほどになります。また、42歳ということで、体力的な問題などもあり出場をためらっていました。しかし、社員や私の子供たちに自慢できるものを残したい。私の塗装人生が間違ったものではないことを証明したくて、出場を決めました。

内閣総理大臣賞を手にしたかったのが本音ですが、国土交通大臣賞を受賞できて、素直に喜んでいます。大会に同行した社員たちも、涙を流しながら「社長、カッコよかったです。感動しました!」「社長と一緒に働けて良かったです」との声が聞けて、本当に出場して良かったと思っています。

何が大変でしたか?
課題内容が変更したことで、参考になる情報がない状態でした。そのため練習を始めたときは、どのように練習したらいいのか不安だったのを覚えています。また、大会特有の課題内容にも苦戦しましたね。例えば調色でいえば、ピンクや黄色、緑といった現場ではあまり扱わない色味を、微妙な色合いの見本に合わせるなどです。あと、櫛引模様仕上げでは、乾燥が早いため一気に仕上げなくてはならず、とても緊張しました。

競技大会に向けて工夫した点は?
すべての課題に対して、とにかく練習に励みました。競技大会の実施内容が発表されてから、仕事の合間に少しずつ取り組みはじめ、本格的に練習をしたのは、競技大会の1カ月前からでしょうか。だいたい平日の8時や9時くらい、ときは12時まで練習することもありました。

特に工夫したのは、大会当時の気持ちの持っていき方です。大会当日はものすごく緊張し、気を抜くと手が震えて、作業がうまくいきません。「練習した通りやれば大丈夫だ」と自分に言い聞かせました。少しでも焦ったときには作業を止めて、目をつぶり深呼吸して、平常心を保つように心がけました。

塗装の面白さは?
塗装は奥が深く、こだわるほどに、仕上がりが格段に良くなります。センスも必要ですが、それ以上に大事なのは経験と感覚。これらがうまくマッチしたとき、いい塗装になりますし、達成感も得られます。この感覚を一度味わうと、やめることはできないですね。

今後の目標は?
自社の社員も含め、地元・熊本から1位の獲得者を出すことです。そのためにも、競技大会で経験したことを含め、私の知識や技術などを教えていけたらと考えています。


厚生労働大臣賞 加賀美 哲也さん (有)加賀美塗装店

受賞の感想は?
今回で2回目の大会出場です。前回は初めての出場で、競技大会の雰囲気を知ることが目的だったので、あまり力まずに挑むことができました。その結果、日本塗料商業組合 理事長賞をいただくことができました。本大会では「絶対に上位入賞を狙うぞ」と意気込んだのですが、思うような結果を残せず、正直ショックです。もっと、がんばらないといけなかったのでしょうね。

競技大会で印象深かったのは、塗装職人の仲間たちの存在です。大会当日の朝、ちょっとしたトラブルがあったのですが、親身になって助けてくださいました。競技大会に向けてとても緊張していたので、彼らがいてくれたから乗り越えられた部分が大きいと思います。

何が大変でしたか?
今回の競技大会で大変だったのは、課題内容がガラリと変わったことです。課題のサイズが小さいうえに制限時間も短くなり、しかも額縁まで塗らないといけないなど、前回の経験がまったく生かせない状態でした。限られた時間内で、どのように作品を仕上げていったらいいのか。どのような時間配分をして、どれだけ手間をかければよいのか悩みました。

競技大会に向けて工夫した点は?
練習を始めたのは、4カ月前くらいからです。仕事を終えて7時くらいから始め、遅いときには12時近くまで取り組みました。練習で気を付けたのは、作業をスピーディーに進められるようにしたことです。少しでも早く塗れるよう、スムーズな刷毛使いなどを猛特訓しました。

実は私の父親が過去の競技大会で、優勝 (1級の部  1位)をしています。そんな父親からのアドバイスが、「100%努力しても、当日は60%から80%しかチカラが発揮できない。とにかく1秒ごとに集中すること」でした。その言葉を胸に、100%のチカラを出し切るよう全力で取り組みました。

塗装の面白さは?
塗装してキレイに仕上げることができたとき、このうえもない達成感があります。この仕事、やってきてよかったなぁ、としみじみ思います。また、今回の競技大会に出場して思ったのは、塗装では思い描いた通りの表現ができるところも面白さじゃないかと。塗装を通じて、見てくれる人たちを魅力できるって、この仕事ならではの魅力だと思います。

今後の目標は?
競技大会に出場したことで、間違いなく成長できたと感じています。私が学んだことや経験したことを、若手職人の育成に役立てたいと考えています。さらに、会社の後継者として経営について勉強したい気持ちがありますし、自社の人材不足を解消する働きもしたいと思っています。


日本建築仕上材工業会 会長賞 浅津 星亜さん 佐藤興業(株)

受賞の感想は?
会社で競技大会の出場者を募集していると聞いて、自分から進んで手を上げました。というのも、以前から自分のチカラを試したくて、いずれは競技大会に出場したいとの思いがありましたから。大会当日は、初挑戦ということもあり、すごく緊張しました。そのため練習通りにいかなかったことがありましたが、まさか受賞できるなんて思わなかったので、すごくうれしいです。

何が大変でしたか?
一番大変だったのは、制限時間内に課題を終えることです。どの課題も手間取ってしまい、仕上げるのが時間ギリギリになってしまいました。さらに、緊張していたこともあり、いつもはしないミスもしてしまいました。

その他で大変だったのは、現場で体験したことのない櫛引模様仕上げです。練習を始めたときは、まっすぐ線を引くことができないところから始めたので、技術の習得に苦労しました。

競技大会に向けて工夫した点は?
とにかく初出場ということで、会社のサポートのもとで練習させていただきました。練習を始めたのは大会から2カ月くらい前から。週に1日または2日、それも終日かけて練習する時間をいただきました。

競技大会の課題では、ふだんの現場とはちがって、特有の作業方法や進め方をする必要がありました。その点、会社の先輩方から課題に取り組むノウハウやコツなどを教えていただき、とても役立ちました。

塗装の面白さは?
しっかりと塗れば、キレイに仕上がる。塗装は、そうした結果がはっきりと目に見えるところが面白いですね。

今後の目標は?
塗装職人になって5年経ちますが、自分の技術力に不安がありました。しかし、競技大会で結果を残すことができ、以前よりも自分を信じられるようになりました。現場では養生に頼らず、フリーハンドで正確なラインを引くこともできるようになるなど、自信を持って現場作業に取り組んでいます。

今回の受賞が励みとなり、次の競技大会にも挑戦したいと考えています。会場当日の雰囲気がわかりましたし、そこで得た貴重な経験が活かせるのではないでしょうか。出場するからには上位入賞をしたいので、より一層がんばりたいと思っています。


これからも活動について発信していきます!

日塗装(一般社団法人日本塗装工業会)は、発足して75年、約2300社の塗装業者が集まる日本最大の塗装団体であり、これまで多彩な活動をしています。
今後も、もっと多くの方に私たちの活動を知ってほしくて、日塗装公式キャラクターの「ロールンちゃん」とともに、どんどん発信していきたいと思っています。日塗装のことは、下記のホームページを読んでみてくださいね。