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『シャザム!』はヒーローに《なれる》人がちゃんとヒーローに《なる》映画だから最高ハッピー気持ちいいですね!

楽しみにしていた『シャザム!』を見てきたぞ。

もう、「孤児で足が悪くて性格が暗い」とか自嘲しつつ実はお茶目でユーモアがあってオタクで勇敢で家族思いなフレディくんかんわいいいいい~~~❤❤❤❤❤❤❤どんだけぇ~~~~☝☝☝❤❤❤❤❤❤❤

……と、全ての感想をIKKOさんのモノマネで終わらせても完全OK、これだけ面白ければ外野がクチャクチャ言わんでも勝手にヒットするだろう、皆も字幕と吹き替えのアレのことはアレしてとりあえず劇場へ走れ!!! って感じの本作なのですが、私はねえ~、フレディくんぎゃんかわ事変を差し引いてもめっちゃ好きな感じでしてね~。でも今この胸にある最高の感動は1週間もしないうちに完全に消え失せてしまうんだよな。残念だがそういう薄情な脳みその持ち主なんだ。だから感想を記録させてくださいな。

※この先、ネタバレへの配慮など存在しないのでご注意をば※

(↑ちなみにこの真ん中のひょうきんかわいこちゃんがフレディ演じるジャック・ディラン・グレイザーくんです。えっ、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』にも出てるの……?? 見る見る見るぅ~~~~❤❤❤❤


【ここがステキだよ『シャザム!』①】
ヴィランのドクター・シヴァナさん、可哀想すぎ

(↑このキングスマンのマーリンにクリソツな美おじ様がシヴァナさんだ)

見た人には説明いらんだろうけど一部のネタバレOK派でむしろネタバレを見て完全に「合格」って思わないと見に行かねェんだ、ってタイプの強キャラの皆さんのために一応書きますね。シャザム! っつーのはなんか魔法の力なんですよ。で、魔術師みたいな人がその力を守ってんの。(てきとう~)

しかしそのCV杉田智和の魔術師おじさん、昔、相手が悪人と見抜けず気さくに力を分け与えたせいで、ソイツに七つの大罪とかいうクリーチャー集団を産み落とされたうえ文明を滅ぼされ、同じく魔術師で仲間だった自分の兄弟姉妹をみ~んな殺されたらしい。壮絶かよ。

今はひとりでやっとこさ封印した七つの大罪を押さえつけて過ごしつつ、最近身体も衰えてきてるしヤババ! ってことで、シャザム! を継承するに値するピュアな心の持ち主を探しているんだけどそのやり方がカス。いきなり洞窟に呼び出して「お前は選ばれし者」「力を与える」みたいな話をしたあと、心の清らかさを与える試験を唐突に行って、相手がクリーチャーどもの精神攻撃でほんわ~~ってなっちゃったら「やっぱお前心キタネェわ! 不合格!」つって強制送還ですよ? 話の順番おかしいだろ!! 最初から完全に心綺麗と認めたヤツにだけ詳細話せや!!! 面接下手か!!!! 

(↑魔法使い、右の髭の人。2019年面接下手すぎおじさん大賞受賞)

だってイヤじゃないです? いきなりよくわかんない洞窟にワープさせられ、登場した魔法使いに「勇者だよ!」って言われて有頂天になってたら、今度は心汚いとか決めつけられて……は??? って話ですよ。

ここでやっと本作のヴィラン、ドクター・シヴァナさんの話に戻ります。シヴァナさん、今はスキンヘッドに義眼の歌舞伎者(かぶきもの)ですが昔は可愛らしい眼鏡っ子クンでした。生けるモラハラ標本のお父さんとお兄さんにネチネチネチネチ虐められ、見るからに可哀想な生活を送っていたところ魔法使いに呼び出されます。んで、例のいきなり面接をかまされます。

当然、心きたねぇ呼ばわりされて黙ってられる子供なんていませんから、「力ちょうだいよ! ぼく心汚くないよ!!!」みたいな弁解を必死にするんですが、そのせいでムカつく父兄のもとへ返されてもイマイチ現実に戻れず……さっきの洞窟へ戻して~~! って大騒ぎしてたら案の定父さんがハンドルさばきミスって車くるくるくる~ッ! キキーーッ!! コラーーーッ!!! ですわ。(千原ジュニアさんの真似をして笑いをかすめ取ろうとする浅はかな者)(言い忘れてましたがシヴァナ親子は車にいた)

それだけでモラハラに餌を与えないで><って感じなのに、別の車が激突してきて追い事故発生→父さん車外に吹っ飛んで死にかけ→兄さん少年シヴァナさんに「お前のせいだ!!」と暴言の可哀想すぎコンボ!!! 当然のごとく性格が歪んで、大人になった現在では魔術研究に没頭し、「魔法使いに会ったとかウッソで~~www」と馬鹿にし続けてきた父兄に真実を証明&復讐するため七つの大罪の力絶対手に入れてやるマンと化していた。

そんなスーパー可哀想おじさん・シヴァナさんが努力の果てに、彼の人生をめちゃくちゃにした張本人である魔術師の野郎に再会して、「確かに俺ピュアではなかったわ。でもピュアな人間なんてこの世にいるんですかねぇ!?」とキレながら七つの大罪の力をGETし、ヴィランになるとこから物語はグーンと動き出すのですが……。


【ここがステキだよ『シャザム!』②】
主人公・ビリーとシヴァナさんが紙一重の存在同士として描かれている(と思う)

(主人公ビリー、フレディきゅんとはタイプが違うけど激マブな~~

これまで主人公の養兄弟で相棒になるフレディくん可哀想ヴィランのシヴァナさんのことに夢中になって紹介し損ねておりましたが、主人公、ビリー・バットソンくんは孤児。しかも子供の頃、遊びに行った遊園地で落としたオモチャを探しているうちにお母さんとはぐれ、以来再会できていないという、ま~たいっちばん可哀想なパターン……。

迷子に乗じて捨てられてしまったのは明らかなのですが、自分の失敗が離れ離れになるきっかけになったこともあってか、ビリーはお母さんは再会を喜んでくれるんじゃないか? という期待を捨てきれずにおり、あの手この手で母親を探し回っています。

そんな風に母親に執着があるビリーは里親になじめず、家出や問題行動を繰り返しては多くの養家を転々としています。新しい家族も全員善人(しかも杓子定規な”いい人たち”って感じじゃなく欠点や変わったところありつつもビリーを温かく受け入れるマインドはホンモノ的なこれ以上ない最高メンツ)で、元は養子だった両親と、これまた全員養子でやってきた兄弟姉妹ということもあり近すぎず遠すぎずの距離で見守ってくれるのですが、それでもビリーは新しい家族を全っ然大事にできねぇのよ。既にスーパーパワー手に入れて、養兄弟のフレディと一緒にヒーロー活動してキャッキャやってるにも関わらずよ? でもそれも仕方ない、ビリーは生き別れた実のお母さんだけが《本物》だと思ってるから。それ以外にいくら素敵なものが現れても、たぶんビリーは自分のものだと思えないし感謝もできない。

ビリーの根っこは決して悪い子ではなく、「本当の兄弟じゃない」と言いつつ傷つけたら申し訳なくなり、殴られていたら助けてあげるような一面も確かにあるのですが、母親との離別が彼の心に大穴を開けており、母親と再会する以外の方法で幸せになること、孤独じゃなくなることを拒んでいる。

そういう生き方、恐らくシヴァナさんもやって来てるはずなんですよね。《自分は嘘つきじゃないと証明するため》《力を手に入れるため》。彼、もうオジサンなので、これまで友達や恋人ができそうになったりみたいな時期もあったんだろうけど、それをぜ~~んぶ切り捨ててきて今なんじゃボケェ!! ってご様子じゃないですか。ビリーも兄弟たちの優しさパワーでお母さんと再会できてなかったらシヴァナさん状態のままだっただろ絶対。『シャザム!』という作品の雰囲気同様、明るくポップに見えるビリーくんですが、実際はかなりの闇深BOY、というのが個人的な見解です。

だからビリーも、「力を寄越せ! 七つの大罪は手に入れたけど、お前の力も手に入れないとダメって言われてんだよ!」的なことを主張しながら襲いかかってくるシヴァナさんに、「いや、マジ気持ちわかる。それ手に入れないことには人生が始まんないって思い込んじゃうんだよなぁ。俺もそうだったわ……」的な言葉を返したんですよね。(このシーンすごくイイッ! と思ったんだけどなにせ1回しか見てないから台詞がうろ覚えで申し訳ない)

でも、ビリー&シヴァナさんの気持ち、私もわかるしたぶん他にもわかる人大勢居ると思うんです。自分の夢とか目標にしていることを《ひとまず手に入れる》という経験をしないと、それ以外の喜びはフェイク!! って考えに凝り固まってしまうよな~。娯楽大作に見せかけてかなり深いところに切り込んでくる『シャザム!』の凄さ、素晴らしさよ……。

そしてそんな物語のキモはやっぱり、ヒーロー・ビリーとヴィラン・シヴァナさんが本当に紙一重の人間同士だってとこなんじゃないでしょうか。だからこそ、私最大のシャザムすこすこポイントである「ヒーローに《なれる》人がちゃんとヒーローに《なる》映画だから最高ハッピー気持ちいい」が描けるし、際立つ!! 


【ここがステキだよ『シャザム!』③】
《困っている人に手を差し伸べられる。それこそが真のスーパーヒーローである》……え!? このスタンリーの名言、『シャザム!』のこと言ってた!!?

(ビリーと兄弟姉妹たち……はぁ~~~~偉い偉い可愛い可愛い大好き)

ボチボチまとめに入りたいのですが、その前に、以下3点の主張をとりあえずで構わないので受け止めていただけませんか?

①魔術師の野郎、七つの大罪の封印解かれたことで慌てて《心ピュア面接》の基準緩くしたろ? お??

②ビリーとシヴァナさんの差、マジでどっちが先に目標達成したかだけ。ビリーの方が《母に再会》でき、望みが叶っても人生すべてが改善するわけではないという《現実》を知れたから若干成長できてたぐらい。

③おい魔術師の野郎、二度といたいけな子供捕まえて(大人相手もダメだけど)「お前の心は汚い」とか言うなよ? おぉおん????? 

急にブチ切れてしまった。最高ハッピー気持ちいい! の話はこの後するのでもう少しだけ待ってください!  ごめんなさい!!

しかし私はやっぱり魔術師に対しおこでして。ただでさえ父と兄のモラハラに苦しんでる少年シヴァナくんにお前なんでそんな呪いかけるようなこと言うのよ~~~;;と。なんかあなたも過去にいろいろ苦労したみたいですけど、だからって人の心汚いとかキレイとかジャッジする資格ねーぞ。なんか魔法の力とかで計測できるのかもしれないけど、だからって直接本人に言うのは絶対違うでしょうが~~!!

(そんな気持ちでいたので魔術師がビリーに力を渡して消えた時「悪は滅びた……」と思いました)

でも、この魔術師にも多少の取り柄はある。なんとこいつの与える力、皆で分け合えるタイプなんすわ。GOD!! GOD!!! GOOOOD!!!!!

グッド過ぎて慣れない英語を口走ってしまった。お陰で予告編では明かされていない最高の激アツ展開、ビリーの養兄弟姉妹全員がヒーローに変身できるようになる、これがやれるんですよ! おい魔術師、悪くねえなあ!!!

英語を口走るのに続いてオラついてしまった。だってさぁ……あくまで心がピュアかどうかの基準で判断するなら、ビリーよりフレディを始めとするビリーの養兄弟姉妹の方が、いい子っちゃあいい子じゃない? ってとこなんですよ。性格的に、ヒーローに向いてるかどうかは別として。

私の最推しであるフレディは自分の宝物(フェイクかもだけど)をビリーにパクられてもキツく責めないし、ふとっちょのペドロくんもビリーが自棄になって捨てた《お母さん捜索ノート》をちゃんとサルベージして保管しててくれるし、ちびっ子ゲーマーのユージーンもスーパーハカー能力を発揮してビリーのお母さんの居場所を突き止めてあげたりしてるワケですよ。

一番ちっこい妹のダラちゃんだって来たばっかのビリーにすぐ「お兄ちゃん❤」つって懐いてくれるし(ほぼギャルゲの妹)、美人お姉さんメアリーは危険が迫ってるとき絶対身を呈して年下の妹弟を庇ってくれるし……あのね、もうビリーがシャザム! の力を託されたのは単なる運よ! 運!! 

でも違うんです、「だからビリーはヒーローにふさわしくないクソ野郎」って言いたいんじゃなくてですね、ビリーだけが特別なんじゃない、痛みを乗り越えて人に優しくできる人は皆優しくて強いんだ、って前提がこの『シャザム!』という映画には間違いなく存在しているところがLOVEなんすよ。

ただ、そこまで描けてる作品なら過去にも存在してるかもしれない。ここで見出しに引用したスタンリーの名言、「困っている人に手を差し伸べられる。それこそが真のスーパーヒーローである」を改めて紹介させてください。『スパイダーマン:スパイダーバース』のラストで出てきたアレね!

『スパイダーマン:スパイダーバース』、最高に面白かったのですが、見終わった気分としては悲しかった。何故かというと私はスパイダーマンみたいに力もないしガッツもないし、こんな素晴らしい作品に勇気をもらえたのに何をやればいいかわかんね~……とエンドロール眺めながら途方に暮れていたんです。そこで映し出されたのがこの名言で、「《困ってる人に手を差し伸べる》、それができれば私みたいなもんでもヒーローになれるのか」と本当に霧が晴れたような心持ちになったんですよ。しかし、その反面!!!!

あの……「ヒーローになれる」つってもそれ、ぶっちゃけ比喩ですよね? そりゃ人の役に立つ素敵な自分にはなれるかもだけど、空も飛べないし透明にもなれないワケだし、つまんな……と、自己愛が強すぎるせいで思った部分も正直ありました!! じゃあいいです、最悪私は諦めます。映画の登場人物じゃないしね? でも映画の世界ではさ、主人公と同じくらい頑張ったり一生懸命戦ってくれたりしてるのに、スーパーパワーがないからヒーローではない、あくまで脇役! って立ち位置になっちゃってる人たっくさん居るじゃないですか。もちろん現代の映画はちゃんとしてるから、「そんな脇役の皆さん含めてヒーローやで~!」って描き方はしてくれてるワケですが(シャザムもそうだよね、パパとママの車のステッカーに「私らは里親! あなたのスーパーパワーは何?」的なこと書いてたもんね。しかし……)それも比喩じゃん!!!! 

比喩じゃなくて本当にヒーローになりたいの!!! 主人公以外の頑張ってる人たちも全員ヒーローにしてあげてよ!!!! お願いお願いお願い~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!

シャザム<OK!

ヒーローに……成った。ヒーローに《成れる》人たちがマジで《成った》!

いや、《元々兄弟で守ってた力》って魔術師が言い出した時から「兄弟? もしかしてビリーの兄弟全員変身して一緒に戦う展開ある……!?」って期待はしてたんですけど、マジで全員変身してくれるなんて!! もしかしてアメコミ好きからしたらシャザム=ファミリーヒーローだったりするの? 私全然詳しくないから完全騙されたよ?? でもめっちゃ嬉しかったからホントありがとう!!!! 

だって心のどこかで「いくらフレディやメアリーやペドロやユージーンやダラがいい子でも、ヒーローはビリーだけなんだよな……」とバリバリ諦めてたから。ってことはですよ、あなたも私も「どうせ映画の登場人物じゃないし」って気を抜いてる場合じゃなくないか!? いつ力を与えられてヒーローにさせられるかわかったもんじゃあねえよ! 日々、困った人がいたら助けて、困ってる人がいない時は人助けできる自分でいられるように身体と心、大事にして過ごそうや! 私にとって『シャザム!』は、そういうメッセージを贈ってくれた映画でした。ますます最高の作品じゃない!??

(パパとママは既にスーパーパワー持ち! 変身もしてくれてええんやで)

最後に一言。魔術師……やっぱりシヴァナさんと他に呼び出して「心汚い」呼ばわりした皆さんに1回謝ってくれ! 頼むッ!(どうしても許せなかった人)(だってそんなこと言われたら完全トラウマなるじゃんね~;;?)

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